タワマンには「公開空地(こうかいくうち)」という不思議な空間があるのをご存じだろうか? あくまでもタワマンの敷地内なのに誰でも自由に入れる公園のようなものがあるのだ。これはいったい何なのか? なぜタワマンには「公開空地」が設置されるのか? 今回は「公開空地」の謎を解き明かそう。
高いタワマンを立てられるのは「公開空地」のおかげ
タワーマンション(以下タワマン)の敷地内には「公開空地(こうかいくうち)」という公園のような不思議な空間が設けられることが多い。これはいったい何なのだろうか? 通常、建物を建てるときは容積率や高さ制限があるため、そのままでは20階を超える超高層ビルは建てられないことが多い。
容積率とは「建物の床面積の敷地面積に対する割合」のこと。たとえば100㎡の土地に床面積100㎡の建物を建てると容積率は100%となるが、タワマンの容積率は数百%になることが多いので、敷地内の一部を誰もが自由に使える「公開空地」にすることを条件に、容積率や高さ制限を緩和してもらっているのだ。つまり、タワマンは「公開空地」を設けることで建築が認められる場合が多いのである。
高層ビルやタワマンなどの公開空地には、そのことを明示した案内板が設置されている。ここには犬の散歩やジョギングコースとして侵入しても大丈夫。ただし、食事や喫煙は禁止されていることが多い
公開空地は必ずしも緑豊かな公園のようになっているわけではない。海岸のボードウォークや通路、屋根のあるアトリウムのようになっている場合もある。また、緊急時には地域の避難所になることも……
「公開空地」は私有地だが誰でも立ち入ることができる
そもそも「公開空地」とは、建物の容積率や高さ制限を緩和するために1971年(昭和46年)に制定された「総合設計制度」に基づき、“建物の敷地に設けられた誰でも自由に出入りできる空間”のこと。その後も建築基準法の改正が何度か行われ、日照権や容積率などの緩和が行われており、現在では駅前の一等地にもタワマンを建てることが可能となっている。
「公開空地」はあくまでもタワマン住民の私有地であり、敷地内の管理もタワマン住民が行う。そのため、一般人が勝手に利用できることに疑問を感じる人もいるかもしれないが、近隣住民との接点になる憩いの場だと考えれば納得できるのではないだろうか?
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