一口に「鉄道マニア」といっても撮り鉄、乗り鉄、呑み鉄など、個人の趣味嗜好でかなり細分化されています。そこで今回は、ガチ乗り鉄の筆者が、鉄道マニアでないと分からないディープな「〇〇鉄」の違いについて解説しましょう。
【目次】
1.鉄道マニアのジャンルはかなり細分化されている!
2.【1】鉄子・子鉄・ママ鉄
3.【2】音鉄
4.【3】時刻表鉄・スジ鉄
5.【4】葬式鉄
6.【5】廃線鉄
7.【6】呑み鉄
8.まとめ
鉄道マニアのジャンルはかなり細分化されている!
鉄道が好きな「鉄道マニア」の人はかなりの数がいると思いますが、とくにディープなマニアのことを「〇〇鉄」と呼ぶことがあります。
なかでも、鉄道写真を趣味にしている「撮り鉄」はニュースになりがちで、一般的にイメージしやすい鉄道マニアといえるでしょう。
撮り鉄は、鉄道マニアのなかでもかなり古いジャンルで、1910年頃に小型の携帯型カメラが普及したことによって、全国に広がっていきました。
日本では明治時代に撮影された鉄道写真「岩崎・渡邊コレクション」がもっとも古いといわれており、鉄道博物館にも収蔵されています。
しかし、近年では撮り鉄の無謀な行動が問題視されることも多く、テレビのニュースでもしばしば取り上げられ、撮り鉄のイメージはかなり悪くなってしまいました。
もちろん、同じ鉄度マニアの筆者は、このようなニュースに接するたびに、また「撮り鉄が……」といったネガティブな感情を持ってしまうのです。
というのも、一口に鉄道マニアといっても、そのジャンルはかなり広く、各自で鉄道を楽しむ方法や行動などがかなり異なっているからです。
そこで今回は、ディープな〇〇鉄がどのように分類されているのか、ガチ乗り鉄の筆者がじっくりと解説しましょう。
【1】鉄子・子鉄・ママ鉄
鉄道マニアの年齢や性別によって呼称されるのが「鉄子・子鉄・ママ鉄」です。
まず「鉄子」は“女性の鉄道マニア”のことで、テレビドラマ化もされた菊池直恵作の鉄道マンガ『鉄子の旅』によって一般的に広がりました。
しかし、最近はジェンダーの観点からあまり積極的には使われなくなったようです。
「子鉄」は、そのまま“子どもの鉄道マニア”のこと。ちなみに「ママ鉄」は子鉄に付き添っていたママが、“子どもと一緒に鉄道好きになってしまった”ことを言います。
また、新幹線を題材としたアニメ『シンカリオン』や、埼玉県さいたま市にある「鉄道博物館」や京都にある「京都鉄道博物館」などが子どもに大人気。
その影響もあってか子鉄が増えるに伴ってママ鉄も増加しているようです。
【2】音鉄
「音鉄」とは、鉄道に関する音を収集、聞き分ける鉄道マニアのこと。
列車内でガンマイクのような集音機器を持って録音している人がいたら、間違いなくそれは音鉄です。
鉄道に関する音にはたくさんの種類があり、駅の構内放送や発車ベル、車内放送の収集などが音鉄の主な目的となります。
発車ベルにはその駅特有の楽曲が使われていたり、車内放送は車種や停車駅によってパターンがたくさんあるので、収集にはかなり時間がかかるのです。
ちなみに、音鉄は雑音が入らないように極力人がいない場所で録音していることが多いので、目撃例が少ない鉄道マニアでもあります。
【3】時刻表鉄・スジ鉄
JTBパブリッシングから毎年数冊発売されている「JTB時刻表」をこよなく愛する鉄道マニアが「時刻表鉄」です。
また、時刻表のことを“スジ”と呼ぶ鉄道マニアもいるため、「スジ鉄」と呼ばれることもあります。
時刻表鉄は、時刻表から旅程を妄想して楽しむのが特徴で、「ナビタイム」などの乗り換えアプリでは決して出てこない移動経路を密かに見つけることが目的のひとつです。
たとえば、その昔「厚別ダッシュ」という、青春18きっぷを利用した有名な移動経路がありました。
これは、JR青森駅の始発快速「はまなす」に乗って、その日のうちにJR稚内駅に到達するという特殊なルートです。
その経路は、快速はまなすで終点のJR札幌駅まで行かず、ひとつ手前のJR新札幌駅で降りて、1.2キロ先にあるJR厚別駅で乗り換えるというもの。
新札幌駅から厚別駅までを10分以内に移動できれば、1本前の普通列車に乗れたため、ギリギリ普通列車だけで青森から稚内まで行くことができたのです。
今ではダイヤが変わってしまいこのルートは実行できませんが、生粋の時刻表鉄は、今でもこのJR新札幌駅-JR厚別駅間を歩いていることがあるそうです。
しかし、最近ではナビアプリの高性能化に押されてしまい、残念ながら厚別ダッシュのような隠れたショートカットがなかなか見つかりません。
【4】葬式鉄
廃線が決まったあと、最後の思い出に乗りに来る鉄道マニアは「葬式鉄」と呼ばれています。
近年、採算が取れない路線で廃線となることが多いので、地方鉄道でよく見かけます。
また、老朽化で廃止される車両やダイヤ改正で種別が変更される前に、乗りに行く人も葬式鉄と呼ばれ、路線と車両の両対応の趣味となっています。
しかし、JR北海道の日高本線やJR東日本の気仙沼線の一部など、自然災害によって線路が破壊されてそのまま廃線になることも多く、廃線間際に乗れるのは稀なことです。
最近では、北陸新幹線延伸によって特急サンダーバードの運用距離が短くなってしまい、最後に乗っておこうと、葬式鉄がたくさん集まっていました。
【5】廃線鉄
「廃線鉄」は、すでに廃線となった場所を訪れる鉄道マニアのこと。すでに列車は走っていないので、ある意味葬式鉄よりもマニアックで、廃墟ファンと被っているかもしれません。
廃線鉄は、主に廃線跡を辿ったり駅や線路、橋脚などの遺構を訪れています。
廃線と一言で言っても、廃線になった時期には大きな差があります。最近のものなら遺構も分かりやすいのですが、戦前や明治の廃線は跡形もありません。
ところが、廃線鉄を長く続けていると、しっかり線路が敷設されていた盛土や朽ち果てた鉄道の橋脚を見つけられるので、観察眼が養われる趣味のひとつですね。
【6】呑み鉄
芸能界でも生粋の鉄道マニア・六角精児氏が提唱したのがこの「呑み鉄」。
呑み鉄とは、列車内で酒を呑みながら鉄道旅を楽しむ鉄道マニアのこと。その地方の地酒や名物のつまみと一緒に、車窓の風景を楽しむという素晴らしい趣味です。
もちろん、呑み鉄はほかのお客さんの迷惑にならないように配慮する必要があります。
たとえば“ロングシートではお酒を飲まないこと”です。通勤・通学の列車内で酒を飲まれては、誰しもいい気分はしないでしょう。
六角精児氏はボックスシートで呑んだり、ほかのお客さんを避けてこそこそ呑んでいるとのこと。
いずれにせよ、お酒を呑んでもしっかり自制できる人以外にはオススメできませんね。
まとめ
いかがでしょうか? 一口に「鉄道マニア」といっても、さまざまな「〇〇鉄」がいることがお分かりいただけたでしょう。
これ以外にも、駅弁が大好きな「駅弁鉄」、切符や鉄道グッズを集めまくる「収集鉄」、ホームにある案内表示が気になってしょうがない「電光掲示板鉄」など、さまざまな鉄道マニアが存在します。
筆者の場合はとにかく日本中の鉄道に全部乗ってみたい「乗り鉄」ですが、廃線になりそうな路線を優先的に乗っているので、葬式鉄でもありますし、列車に乗っているときは呑み鉄でもあります。
もちろん、どのように鉄道を楽しむか人それぞれですが、周囲の乗客の迷惑にならないように配慮しながら楽しみたいものですね。