「Suica」の意外な秘密 − 実はJR東日本に借りているだけで自分のものではないって知ってた?

関東在住の多くの人が、JR東日本の交通系ICカード「Suica」を持っていることでしょう。でも実は、そのSuicaはアナタのものではないのをご存じですか? これはいったいどういうことなのか、ガチ乗り鉄の筆者がじっくり解説しましょう。

カード型SuicaはすべてJR東日本からの借り物だった!

「Suica(スイカ)」は、2001年にJR東日本が導入を開始した非接触型交通系ICカード。発行枚数は、2021年時点ですでに8,700万枚を超えているそうです。

Suicaを利用すれば、きっぷを買わずに自動改札をタッチするだけで電車に乗れますし、ショップでの支払いまでできるのが便利ですよね。関東在住の人なら日常的に使っていることでしょう。

そのようなSuicaですが、実はカード型Suicaはアナタのものではなくすべて“JR東日本から借りているだけ”だということをご存じでしょうか?

(Image:BT Image / Shutterstock.com)

関東在住者にはお馴染みの「Suica」。実は自分のものではなくJR東日本から貸与されているものだと知っていましたか?

よく思い出してください。カード型Suicaを初めて発行したときに500円を支払ったと思いますが、これはSuicaの購入代金ではありません。

この500円はあくまでも「デポジット(保証)料」であり、Suicaを返却すればデポジット料の500円は返却される仕組みとなっているのです。

つまり、カード型Suicaはすべて発行会社であるJR東日本の持ち物であり、アナタはあくまでもカード型Suicaを借りているだけなのです。

なお、JR東日本の「東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則」にも「Suica媒体を貸与する」と明記されているのが確認できます。

●JR東日本「東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則」は→こちら

こちらがJR東日本の「東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則」。第3条には、「Suicaを貸与する」と書かれています(JR東日本公式サイトより引用)

ちなみに、JR東日本ではデポジットが必要ない「Suica Light」というサービスも始めています。

こちらは、通常のカード型Suicaと同じように電車やバス、電子マネーとして利用できますが、JR東日本からの貸与ではなく、あくまでも所有者は購入者になります。

ただし、Suica Lightはあまり普及しておらず、地方自治体のサービスと一体化されていることがほとんど。

さらに、発行から最大6カ月間しか利用できないため、“幻のSuica”などと呼ばれることもあります。

●PDF「新たな IC カード「Suica Light」の販売を開始します!」は→こちら(PDF)

同じSuicaでも「Suica Light」はデポジットで購入できます。貸与ではなく所有者はあくまでも購入者になります(JR東日本公式サイトより引用)

それなら「モバイルSuica」は誰のもの?

カード型Suicaが、実は自分のものではなくJR東日本から借り物だったということは、理解していただけたと思います。

しかし、最近はスマホで利用できる「モバイルSuica」も普及しています。こちらはいったい誰のものなのでしょうか?

その答えのカギは「デポジット」です。モバイルSuicaの場合はデポジットなしで利用できるので、こちらは利用者の所有と考えていいでしょう。

実際、カード型SuicaをモバイルSuicaへ移行したときは、自動的にデポジットの500円が戻るようになっています。

カード型SuicaからモバイルSuicaに移行すると、デポジットの500円は返却されるようになっています(筆者撮影)

もちろん、モバイルSuicaに移行が完了したカード型Suicaは貸与が終了したことになるので、速やかにJR東日本に返還することになっています。

もし、まだ手元に残っている場合は、最寄り駅のみどりの窓口で返還しましょう。

●JR東日本「モバイルSuica」公式サイトは→こちら
●JR東日本「モバイルデバイスにおけるSuica利用規約」は→こちら

「モバイルデバイスにおけるSuica利用規約」の6条では、「モバイルSuicaの所有権は利用者に帰属」と明記されています(JR東日本公式サイトより引用)

まとめ

いかがでしょうか? 日常的に使っているカード型Suicaが、実は自分のものではなく、JR東日本から借りていたものだと知らなかった人も多いのではないでしょうか?

この理屈からすると、2014年に東京駅開業100周年記念の「東京駅開業100周年記念Suica」などもデポジットが含まれているので、所有権はJR東日本にあることになります。

東京駅開業100周年記念Suicaにはデポジットが含まれているので、理屈ではJR東日本に所有権があるはずです。しかし、現実には「返却されないことを前提」で発行された珍しいSuicaとなります(筆者撮影)

しかし、現実には返却する人などはおらず、フリマやAmazonなどでも堂々と転売されていますので、そのあたりは意外とあいまいなのかもしれません。

ちなみに、10年以上使っていないカード型Suicaは失効してしまいますので、もし、使っていない古いSuicaが手元にあるなら、今すぐ確認したほうがいいでしょう。

※サムネイル画像(Image:TungCheung / Shutterstock.com)

西澤浩一
アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。趣味は乗り鉄であり、休日はフリーきっぷ片手に日本全国を徘徊中。お気に入りは青春18きっぷで乗れるリゾートしらかみ。他にもゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も趣味のひとつ。

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