実は、新幹線と普通列車「在来線」乗車券の料金は同じだって知ってた!?

日本には高速鉄道の「新幹線」と普通列車が走る「在来線」があります。もちろん新幹線の最高速度は320キロと、在来線より圧倒的に速いのが特徴ですが、それ以外にも両者には大きな違いがあるのです。そこで今回は、ガチ乗り鉄の筆者が、今さら聞けない新幹線と在来線の違いを解説したいと思います。

新幹線ができるまで「在来線」という名称はなかった!

皆さんご存じのとおり、「新幹線」は1964年に開業した高速鉄道で、当初は東京-大阪間で東海道新幹線が運行されました。

開業当時の最大速度は210キロでしたが、現在では285キロまでスピードアップされ、東京-新大阪間を最短2時間22分で運行しています。

1964年に開業した東海道新幹線。当初は210キロでしたが現在は285キロまでスピードアップされています

もちろん、今では東海道新幹線だけでなく、山陽、東北、上越、山形、秋田、北陸、九州、北海道と日本の主要都市を新幹線が結んでいます。

また、将来的には北海道の札幌や、北陸新幹線の京都への延伸なども計画されているのです。

これに対し「在来線」は新幹線以外の路線のことを言いますが、国鉄時代から通勤・通学の交通手段として利用されています。

在来線には鈍行、快速、特急と複数の種別がありますが、特急券が必要となる特急列車が最速なのは言うまでもありません。

ちなみに、新幹線ができるまで在来線という名称はなく、新幹線と区別するために新たに在来線という言葉が生まれました。

それでは、このあとじっくりと新幹線と在来線の違いを解説していきましょう。

こちらは1997年に開通した秋田新幹線「こまち」。赤い色と長い鼻が特徴的な新幹線で、最高速度は時速320キロを誇ります(筆者撮影)

「特急ひたち」は品川-仙台間を結ぶ在来線の特急列車。未来的なデザインですが新幹線とは見た目がまったく違います(筆者撮影)

【1】最高速度は新幹線のほうが2倍も速い

新幹線と在来線の違いは、当然「最高速度」にあります。

現在、新幹線の最高速度は東北・秋田新幹線の時速320キロですが、在来線では京成電鉄の「スカイライナー」が最速となります。

それでもスカイライナーは最大時速160キロですので、新幹線のほうが在来線よりも2倍も速いことになります。

また、JRの特急列車の最速は時速130キロですので、やはり新幹線のほうが圧倒的に速いことが分かります。

この速度の違いは線路の形が大きな要因。新幹線は最初から速度を上げるためにカーブの少ない構造になっています。

しかし、在来線の線路はカーブが非常に多く、もともとスピードを出すように設計されていません。

したがって、在来線は新幹線のように最高速度を上げることができず、JRの場合は特急でも最大時速130キロまでとなっているのです。

「特急サンダーバード」の最高時速は時速130キロ。高速走行を想定した線路ではないため、カーブが多くそれ以上はスピードを出せません(筆者撮影)

【2】新幹線の線路幅は在来線よりかなり広い

新幹線と在来線では「線路幅」がまったく違います。線路幅は新幹線が標準軌と呼ばれる1,435ミリ、在来線は狭軌と呼ばれる1,067ミリとなっており、新幹線のほうが368ミリも幅が広くなっているのです。

これは、新幹線の高速走行を実現するとともに、安定性も確保するのが目的でした。当然、狭軌よりも標準機のほうが安定性が高いので、新幹線に採用されたのです。

逆に在来線は、日本のあらゆる場所に対応するために、狭い土地でも線路が引きやすい狭軌が採用されたと言われています。

福島駅の奥羽本線のホームでは標準軌と狭軌が並行しています。写真左側の線路が「狭軌」、右側が「標準機」。こうして比べてみると線路幅に大きな差があることが分かりますね(筆者撮影)

【3】新幹線ホームには乗車券だけでは入れない

新幹線ホームは入場に制限があります。

在来線のホームなら乗車券を持っていれば誰でも入れますが、新幹線ホームには乗車券だけで入ることはできません。必ず新幹線特急券が必要となります。

そのため、在来線から新幹線に乗り換えるときには、改札を通る必要があるのです。

こちらは山陽新幹線「岡山駅」の在来線のりかえ口の様子。新幹線と在来線の乗り換えでは必ず改札を通ることになります(筆者撮影)

ただし、入場券を持っている人は新幹線ホームにも入場することが可能となっています。

新幹線のホームには乗車券だけでなく、新幹線特急券がないと入ることができません。また、入場券でも新幹線のホームに入ることは可能となっています(筆者撮影)

【4】実はどちらも乗車券の料金は同じ!

新幹線は乗車券以外に特急料金が必要になるので、在来線よりも合計金額が高くなりますが、実は乗車券の料金(運賃)はまったく同じです。

JRの運賃は「営業キロ」という路線の長さによって計算されています。この営業キロが同じであれば、新幹線と普通列車「在来線」の乗車券の代金はまったく同じになるのです。

●JRおでかけネット「運賃・特急料金早見表」は→こちら(PDF)

東京-名古屋間の新幹線運賃は6,380円となっています。こちらは在来線を利用したときとまったく同じ料金になります(画像はJRおでかけネット公式サイトより引用)

ただし例外もあります。たとえば、東京-新横浜間は新幹線を利用すると最短経路で行けますが、在来線では東神奈川駅を経由して少し回り道することになるため、最短経路では行けません。

ちなみに、東京-新横浜間の新幹線の運賃は510円ですが、在来線ではSuicaを使っても571円ほどかかってしまいます。

とはいえ、新幹線には特急券も別途必要ですので、合計金額は在来線より高くなってしまいますが……。

【5】新幹線の線路は途中で分断されている!

在来線の線路は、途中で分断されることなく日本全国つながっていますが、実は新幹線は途中で分断されているのをご存じでしょうか?

たとえば、JR東京駅では北へ向かう線路と、南へ向かう線路は線路がつながっていません。

その理由は送電の“周波数”の違いにあります。東北新幹線は「50Hz」ですが、東海道新幹線は「60Hz」と異なっているのです。

興味がある人は、東京駅の新幹線ホームから線路が途切れている様子を確認してみてください。

こちらが東京駅の新幹線ホームから見える車止め。線路が途切れていて、東海道線と東北線でつながっていないことが分かります(筆者撮影)

【6】列車内でのマナーも大きく違う

新幹線と在来線では、列車内でのマナーも大きく違うことを認識していますか?

もっとも分かりやすいのは“食事”です。基本的にJRでは列車内での飲食を禁止していません。

新幹線では飲食はもちろん、アルコールまでOKという考え方が一般的ですよね。

しかし、在来線の通勤電車(ロングシート)でお弁当を食べたり、アルコールを飲んでいる人はほとんどいません。

(Image:Nut Vasinyont / Shutterstock.com)

通勤電車ではロングシートになっていることが多く、ここでお弁当を食べたりする人はほとんど見かけません

これは、車内が混在しているのが大きな理由でしょうが、人目を気にして無意識のうちに新幹線と在来線では、マナーに違いがあることを分かっているのでしょう。

もちろん、在来線でもクロスシート(ボックス席)の特急列車なら、周囲の目を気にしなくて済むので、駅弁を食べたりアルコールを飲んでいる人も多いはずです。

在来線でも、クロスシート(ボックス席)の特急列車では人目が気にならず、弁当を食べたりアルコールを飲む人もいます(筆者撮影)

乗り鉄の筆者も、新幹線や特急列車のボックス席なら、駅弁やアルコールを楽しんでいますが、さすがにロングシートでお弁当は食べません(筆者撮影)

まとめ

いかがでしょうか? 何となく新幹線と在来線の違いは知っている人でも、具体的にどこが違うのか説明するとなると、意外と難しいのではないでしょうか。

最高速度の違いや線路幅の違いは当然としても、運賃が同じだったり新幹線の線路は途中で分断されていることを知っている人は、少ないと思います。

今後、新幹線を利用する機会があるときは、在来線との違いを探してみるのも面白いかもしれませんよ。

西澤浩一
アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。趣味は乗り鉄であり、休日はフリーきっぷ片手に日本全国を徘徊中。お気に入りは青春18きっぷで乗れるリゾートしらかみ。他にもゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も趣味のひとつ。

関連記事

TOPICS
ヘルス・ライフ最新記事

RANKINGランキング

18:00更新