普段乗っている鉄道には、一般人はあまり知らない特殊なルールがあるのをご存じでしょうか? なかには「どうしてそんなルールがあるの?」と疑問に思うものも……。そこで今回は、ガチ乗り鉄の筆者がJRを中心に意外と知られていない鉄道のルールについて解説します。
【目次】
1.JRのルールは旧国鉄時代からほぼ引き継いでいる
2.【1】実は2L以上のお酒を車内に持ち込むのは禁止!
3.【2】間違って乗り越してしまったとき運賃を払わずに戻っていいの?
4.【3】首都圏なら100km乗っても最短区間の運賃で乗車できる!
5.【4】JR「有楽町駅」からJR「東京駅」京葉線のホームに乗り換える裏ワザがあった!
6.【5】運転手と車掌は細かい専用時刻表がある
7.【6】長すぎる路面電車は走行できない!
8.まとめ
JRのルールは旧国鉄時代からほぼ引き継いでいる
現在のJR(ジェイアール・Japan Railways)は、1987年に国鉄から分割民営化された会社なのはご存じでしょう。
そのJRでは、国鉄時代からのルール(旅客営業規則)を変更・改変して使い続けています。
そのため、現代ではどうしてそんなルールがあるのかよく分からないもあったりするのです。
そこで今回は、ガチ乗り鉄の筆者が、JRを中心にあまり知られていない鉄道のルールについて解説します。
皆さんもうっかりルール違反を犯して、駅員さんに注意されないように気をつけましょう!
●JR東日本「旅客営業規則」は→こちら
【1】実は2L以上のお酒を車内に持ち込むのは禁止!
JRでは車内に持ち込めない「危険品」を定めています。そのなかには、市販されている物品も含まれているので注意しましょう。
もちろん、梱包されていない刃物や不潔なもの、臭気を発するものなどは危険品に指定されており、持ち込み禁止となっています。
これに類するものとしては、市販のガス缶やマッチなども危険品となっており、車内に持ち込める量が定められているのです。
その量は、市販品で梱包されている状態なら2kgまで、もしくは2Lまでとなっています。
この危険品にはお酒、化粧品、医薬品、ヘアスプレーなども含まれているため、実はお酒を1升持ち込んでしまうと、危険品となるまで残り100mlしか余裕がありません。
もし、このルールに違反した場合は2万円以下の罰金、または科料となるので、呑み鉄の人は十分注意してください。
●JRおでかけネット「持ち込めない荷物」は→こちら
【2】間違って乗り越してしまったとき運賃を払わずに戻っていいの?
列車に乗っているとき、うっかり乗り越してしまったことはありませんか?
通常なら、乗り越した部分の運賃を駅で精算し、もう一度目的の駅まで乗り直すことになりますよね。
しかし、JRでは故意ではないことが認められると、乗り越しても追加の運賃を払う必要はありません。この措置は「無賃送還」と呼ばれています。
もし、うっかり乗り越してしまったら乗務員に「乗り越してしまった」と伝え、故意ではないと認められた場合は「無賃送還」の手続きをしてくれるので、目的の駅までそのまま戻ることができるのです。
ただし、何度も繰り返し「無賃送還」を行ったり、悪用している疑いがある場合は「無賃送還」と見なされないので、注意しましょう。
なお、乗り越したことを乗務員に伝えず、しかも改札から出ずに折り返した場合は、折り返した部分が「不正乗車」と判定され、通常の3倍の運賃を請求されますので要注意です。
●JR東日本「第284条無賃送還」は→こちら
【3】首都圏なら100km乗っても最短区間の運賃で乗車できる!
JRの交通網が入り組んでいる首都圏では、同じ区間でもさまざまなルートで目的地に行くことができますよね。
そのとき、最短ルートではなくグルッと大回りして行った場合の料金は、いったいどうなるのかご存じでしょうか?
実は、JRの運賃は実際に列車に乗った距離ではなく、乗った駅と降りた駅の最短区間分の運賃で計算されます。
たとえば、JR「東京駅」からJR「秋葉原駅」へ向かうとき、山手線を品川経由で逆方向で秋葉原駅に向かっても、JR「神田駅」を経由して最短距離で移動しても、運賃は同じ150円となるのです。
これは「大都市近郊区間内の特例」というルールで、運賃計算が煩雑になってしまう地域に限って適応されるルール。
この特例が適用される地域は東京、新潟、仙台、大阪、福岡となっています。
当然、東京の適応範囲がもっとも広く、南はJR「伊東駅」、北はJR「浪江駅」、西はJR「松本駅」、東はJR「銚子駅」までとなっています。
ただし、「大都市近郊区間内の特例」を利用するには、下記のルールがあるのでしっかり覚えておきましょう。
■大都市近郊区間内の特例のルール
【1】同じ駅・ルートを2度通ってはいけない
【2】途中下車はできない
【3】適用時間は始発から終電まで
この特例のルールを守れっていれば、首都圏では余裕で100kmを超える乗車がたった1駅区間の料金でできてしまいます。
JR「東京駅」-JR「神田駅」では、東京-品川-茅ヶ崎-八王子-神田というルートを通れば、実に146.4kmもの電車の旅を楽しむことが可能ですよ。
筆者のような鉄道マニアの間では、このような乗車方法を“大回り乗車”と呼んでいます。
たとえば、年末の深夜営業を利用した場合には、なんと1,000kmを超える乗車も不可能ではありません。気になる人はぜひ大回り乗車ルートを調べてみてはいかがでしょうか?
●JR東日本「運賃計算の特例」は→こちら
【4】JR「有楽町駅」からJR「東京駅」京葉線のホームに乗り換える裏ワザがあった!
JR「東京駅」から電車で「東京ディズニーリゾート」に行った人なら経験があると思いますが、JR「東京駅」の京葉線は山手線や中央線のホームから離れた位置にあります。
どの路線から乗り換えるかにもよりますが、その距離は1km以上あり、歩いて移動すると10~15分くらいはかかってしまうため、初めての人は「これ、どこまで歩かせるのよ~」と感じることでしょう。
しかし、JR「有楽町駅」を経由して東京駅の京葉線に向かう場合は、有楽町駅の改札から出て最短経路で東京駅の京葉線ホームに入ることができる裏ワザがあるのをご存じでしょうか?
まず、有楽町駅まで移動し、有楽町駅「京橋口」の駅員に「京葉線へ乗り換えたい」と伝え、Suicaの入場情報かきっぷを確認してもらいます。
このとき「乗換用証明書」が渡されるので、そのまま改札を出ましょう。
その後、国際フォーラム内を通り抜けると京葉線に直結した東京駅の改札があるので、そこで乗換用証明書を駅員に渡すと、改札を通ってホームに入ることができるのです。
このルートなら普通に歩くと5分ほどなので、東京駅から10分以上歩くことを考えれば近いはずです。もし、京葉線を利用する場合は、チャレンジしてみてください。
【5】運転手と車掌は細かい専用時刻表がある
駅の時刻表は鉄道会社が公表していますが、実は、運転手や車掌はもっと細かい専用時刻表を使っているのをご存じでしょうか?
この運転手&車掌専用時刻表には〇〇時〇〇分以外に〇〇秒まで記載されているのです。JRでは「無記入」「15」「30」「45」の4種類のいずれかの数字が時刻表に記載されています。
ただし、鉄道会社によって記載ルールが異なるため、10秒刻みや5秒刻みの時刻表も存在するのだとか……。
日本の正確な鉄道運行は、このような細かい運転手&車掌専用時刻設定によって守られているのですね。
【6】長すぎる路面電車は走行できない!
最後に路面電車の特殊なルールについて解説しましょう。
今でも日本の地方都市にはたくさん路面電車が走っていますが、路面電車の車両編成って普通の列車に比べると短いですよね。
実はこれ、軌道法という法律によって路面電車の1編成の長さが、全長30メートル以下と定められているのです。
そのため、長くても4両編成の路面電車までしかなく、それ以上長い編成は原則ありません。
路面電車は車道にレールを敷いて、車と列車の両方が通れるようにしていますので、車両が長すぎると自動車の交通の妨げになってしまいますよね。
まとめ
いかがでしょうか? 日常的に利用している鉄道ですが、意外と知らないルールがあったのではないでしょうか?
今回紹介したルールのなかでも、とくに危険物の持ち込みは、近年の放火事件などの影響もあり取り締まりが強化されています。
知らなかったでは済まなくなることもあるので、該当しそうなものを電車で運ぶときは、事前にしっかりチェックしておきましょう。