日本全国で利用できる便利な「Suica」ですが、あまり遠くの駅まで乗車すると自動改札を出られないことがあるのをご存じでしょうか? 実は交通系ICカードにはそれぞれのエリアが設定されていて、基本的にエリア間を跨いで利用することはできないんです。それでは、いったいエリアの境界駅ではどのように対処すればいいのでしょうか?
境界駅の自動改札は両エリアに対応していることが多い!
実は、交通系ICカードは14のエリアに分かれており、列車で移動する場合は基本的に異なるエリア間を跨いで利用することができないのです。たとえば、JR東日本エリア内からSuicaで鈍行の列車に乗車した場合、Suica対応エリア外の駅で降りようとしても、自動改札でエラーとなって出られないんですね。
Suicaエリアを跨いで下車するときは、基本的に有人窓口で精算してもらうことになるのですが、たとえば、JR東日本(Suica)とJR東海(TOICA)の境界駅であるJR「熱海駅」では、Suicaの自動改札とTOICAの自動改札の両方が設置されています。
そのため、熱海駅を出るときはそれぞれの交通系ICカード(SuicaかTOICA)に対応した自動改札を利用すれば、窓口で精算する必要はありません。もちろん、熱海駅構内に入るときにはどちらの自動改札にタッチしても大丈夫です。
また、JR東海(TOICA)とJR西日本(ICOCA)の境界駅となっているJR「亀山駅」とJR「米原駅」も、同じようにTOICAとICOCAそれぞれの自動改札が設置されており、どちらにも対応できるようになっています。ほかにも、JR九州(SUGOCA)とJR西日本(ICOCA)の境界駅となっているJR「下関駅」でも、ICOCAとSUGOCAの両方の自動改札が設置されています。
このように交通系ICカードのエリア境界駅では、両方のエリアに対応した自動改札が設置されていることが多く、その場合は有人窓口で精算しなくても大丈夫なのです。
エリアを跨いだ交通系ICカードの定期券も発売されている
交通系ICカードは基本的にエリアを跨いでの乗車ができないため、エリアの境界付近に住む人にとっては不便でしょう。とくに通勤・通学で毎日エリアの境界を超える人にとっては大問題ですよね。そこで、JR各社では交通系ICカードのエリアを跨いだ「ICカード定期券」を発売しています。
たとえば、ICOCAエリアとSuicaエリアに挟まれたJR東海では「SuicaエリアとTOICAエリア」「TOICAエリアとICOCAエリア」を跨ぐ在来線の定期券をICカードで発売しているんですね。ただし、エリアを跨ぐ交通系ICカードの定期券には制限が設けられています。
まず、エリア間を跨いだ交通系ICカードの定期券は、移動距離が300kmまでに制限されていますが、JR東京駅を中心に考えると300kmはJR「名古屋駅」、JR「仙台駅」、JR「新潟駅」の手前まで行けるので、通勤圏としては十分でしょう。
次に、エリアを跨いだ交通系ICカードの定期券で、定期券区間外へ移動した場合には、やはり自動改札でエラーとなって出られません。必ず精算機での精算が必要となるので、通勤・通学中に、そのまま他の駅に行く際には十分気をつけましょう。なお、モバイルSuicaでは、このようなエリアを跨いだ交通系ICカードの定期券を購入することはできません。
●JR東日本公式サイト「TOICAエリアにまたがるSuica定期券」は→こちら
●JR東海公式サイト「他エリアにまたがるIC定期券」は→こちら
まとめ
いかがでしょうか? 今回は交通系ICカードのエリアを超えた「境界駅」の跨ぎ方を紹介しました。東京に住んでいるとSuicaの利用エリアなど気にすることはないでしょうが、日本全国にあるエリアの境界駅付近に住んでいる人にとっては不便です。ちなみに、今回紹介した境界駅が両エリアの自動改札に対応したのも、エリアを跨いだICカード定期券の発行についても、可能になったのは2021年頃とつい最近のことなのです。
※サムネイル画像(Image:Kim han bit / Shutterstock.com)