Amazonで買い物する際、「Amazonで買った」という意識はあっても「Amazonのどの出品者から買ったのか」までは意識していない方も多いのでは?
実際にはAmazonには「Amazon公式からの出品」と「Amazonマーケットプレイスからの出品」があります。Amazonマーケットプレイスの出品者は、Amazonが直接販売する商品とは異なり、個人または法人の独立した販売者です。
すると気になるのが「どういう業者がAmazonマーケットプレイスの出品者なのか」。個人でも出品できるということは、マーケットプレイスの出品者はいわゆる「転売屋」ではないのかと疑いたくなりますよね。
今回はマーケットプレイスの出品者は、結局どういう人たちなのかを解説します。
Amazonのマーケットプレイスの出品者は何者?
結論から言えば、マーケットプレイスの出品者には「法人」もいれば「個人」もいます。後述しますがブックオフやゲオといった有名店が出品しているケースもあれば、いわゆる「せどり」を行っている個人の出品者の方もいます。補足すると、実はAmazonマーケットプレイスの出品者には「個人事業主」でもなることができます(※出品制限が課せられるケースはあります)。
出品者は商品を自己発送するか、FBAと呼ばれるAmazon倉庫からの配送サービスを利用するかを選ぶことが可能。総じてマーケットプレイス出品者はAmazonのプラットフォームを利用してはいるものの、独立した販売者です。
Amazon公式とマーケットプレイス出品者の見分け方
Amazon公式とマーケットプレイス出品者の見分け方は簡単です。商品ページにアクセスした際、販売元に「Amazon.co.jp」と記載されている場合はAmazon公式による販売。それ以外の業者名が書かれている場合は、マーケットプレイス出品の商品です。
余談ですがAmazonマーケットプレイスの出品者は、「大口出品」と「小口出品」の2つのパターンに分かれます。大口出品は月額4,900円の登録料がかかりますが、上限なしでの販売が可能。一方、小口出品は商品ごとに100円の手数料がかかるプランで、販売数は毎月49点まで。
加えて下記7つのカテゴリは小口出品で制限されています。
・時計
・ヘルス&ビューティー
・アパレル・シューズ・バッグ
・コスメ
・ジュエリー
・食品&飲料
・ペット用品
逆に言えば、上の7つ以外のカテゴリは「小口出品」の出品者が存在している可能性があります。たとえば「家電」や「古本」など上の7つ以外のカテゴリで商品を買う際は、その商品が「Amazon公式によるものか否か」をより注意して見てみるのもおすすめです。
マーケットプレイスの出品者は「転売屋」なのか
マーケットプレイスの出品者の中には、いわゆる「転売屋」や「せどり」を行う個人も中には存在します。すべての出品者が「せどり」というわけではないものの、転売屋に相当する方の出品が存在しているのは事実です。
転売屋の方がマーケットプレイスで利益を得る基本的な流れは、以下のようなものです。実店舗やネットショップ、海外サイトなどから商品を仕入れてAmazonで販売。購入額と販売額の差額を得るものです(※別途Amazonの手数料が差し引かれます)。
こうした転売屋の存在が問題視されたのは、近年では「PlayStation 5」の品薄問題が記憶に新しいでしょう。
PS5は2020年の登場以来、2年以上も品薄に苦しんだゲーム機でした。その理由の1つが「高額転売」。店頭での抽選販売に次から次へと転売屋が申し込み、仕入れたPS5をフリマアプリやAmazonマーケットプレイスで転売するケースが後を絶ちませんでした。そのため家電量販店側は転売対策を強化している傾向にあります。
またAmazon側も近年は「悪質な転売」への対策を強化しています。その対策の一例が、新品で商品を出品する際の「仕入れ証明書」の提出です。真贋調査や仕入れ先の正規店証明を目的とする調査であり、こうした書類提出や調査が強化されたことによって「実際には開封済みのぼろぼろの商品が新品で販売されている」といったケースは減少傾向にあります。
悪質な転売の出品は通報も可能
なお、Amazonでは先にも述べた「仕入れ証明書の提出(※新品での出品時)」などマーケットプレイスの出品者に対して一定のルールを設けており、悪質な転売行為や偽物の販売などは禁止されています。もし出品者が不適切な行為を行っていた場合、ユーザーはAmazonに通報することもできます。
「明らかに新品のコンディションではないにも関わらず、マーケットプレイスの出品者から新品として商品が届いた」といったようなケースでは、Amazonに通報をするのも一案です。
マーケットプレイスを利用している企業の例
Amazonマーケットプレイスは、個人だけでなく多くの大企業にも利用されています。たとえば一例が「ブックオフ」と「ゲオ」。ブックオフやゲオは全国の店舗で買い取った本や DVD、ゲームなどの中古品を、自社のウェブサイトだけでなくAmazonのマーケットプレイスでも販売しています。
また近年では、Amazonのマーケットプレイスを中心に事業を展開する新進企業も登場しています。たとえばオンラインの古本買取・販売をしている「バリューブックス」はAmazonでの古本販売業者としてスタートし、2024年現在もAmazonが売上の主戦場。専用の梱包材と防水が施されて届けられる点が評判を呼んで事業を拡大し、設立12年で売上約23億7千万円にまで成長しています。
この「バリューブックス」のように、マーケットプレイス出品者として大きな成果を上げている企業も存在します。つまり、マーケットプレイスの出品者は皆が皆「転売屋」「せどり」というわけではありません。
またPS5の品薄問題などを受けて、転売屋の仕入れ元であった実店舗などが転売対策を強化。同様にAmazonも真贋調査などを強化しており、いわゆる「転売屋」は別のプラットフォームに移ったり、取り扱う商材を大きく変えているケースが増えています。
もっとも「転売屋」がゼロになったわけではありません。Amazonで商品を購入する際は、その商品の販売元や評価をしっかり確認してから購入するようにしましょう。
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