被災地に届けたい一心で拡散した情報がフェイクだったとしたら…。偽情報を見分ける自信がある人はどの程度いるのでしょうか。今回は、モバイル社会研究所が8月29日に公開した「災害情報のSNSでの取り扱いに関する調査」の結果をご紹介します。
Xで災害情報を発信・拡散した経験がある人の半数は偽情報を見分ける自信がある
モバイル社会研究所は、全国の15歳~79歳の男女8991人を対象に、「災害情報のXでの発信・拡散に関する調査」を実施しています。
まずは、「Xで災害情報を発信・拡散した経験と偽情報を見分ける自信」の関係について調査。すると、災害時にXを利用して災害に関する情報を「発信・拡散したことがある」と回答した人は857人で全体の約10%でした。
また、災害時のフェイクニュース・デマなど偽情報を見分ける自信があるか尋ねたところ、「自信がある」「やや自信がある」と回答した人は全体で25%、「発信・拡散したことがある」と回答した人の中では51%という結果となりました。
災害情報の発信・拡散をしたことがある人は、ない人と比較して「偽情報を見分ける自信がある」と回答する割合が高い傾向にあるようです。
10~20代に絞るとさらに「偽情報を見分ける自信がある」人の割合が高くなる
前設問の結果を、“Xを利用して災害に関する情報を発信あるいは拡散を行った経験が多い10~20代”に絞って見ていくと、「発信・拡散をしたことがある」と回答した人の中で、「偽情報を見分ける自信がある」と答えた人の割合は56%に。全体では33%と、いずれも全年代を対象とした調査結果よりも高い割合となりました。
SNSの投稿を日頃から見慣れていることが、災害時の情報の取り扱いに対する自信につながっているのかもしれません。
Xで災害情報を発信・拡散したことがある人の半数以上が「ファクトチェック」を知らない
偽の情報を発信したり拡散したりしないためには、行動に移す前に「ファクトチェック」などを行い、情報に間違いがないかどうか確かめる必要がありま。そこで、Xで災害情報を発信または拡散した経験がある人の中に「ファクトチェック」を知っている人がどのくらいいるのかも調査しています。
Xで災害情報を発信・拡散した経験とファクトチェックの理解の関係性を見てみると、「発信・拡散をしたことがある」と回答した人のファクトチェックの理解度は、「聞いたこともあり、内容も理解している」「聞いたことがあり、意味もなんとなくわかる」を合わせた47%で、半数に満たない結果になりました。
全体では「ファクトチェック」の理解度は37%とさらに低かったため、発信・拡散前にチェックをしていない人は多そうです。
真偽を見分ける自信がある人の35%が「ファクトチェック」を理解していない
続けて、「災害情報の真偽を見分ける自信」と「ファクトチェックの理解」の関係について見てみると、真偽を見分ける自信がある人の35%が、ファクトチェックを「理解していない」または「聞いたことはない」と回答していることがわかりました。この結果を見ると、何をもって「情報の真偽を見分ける自信がある」と回答しているのか不安に思えてきます。
即時性のある情報を得やすいため、災害時に利用する人が増えているSNSですが、もととなる情報はいつ、どこから発信されたものなのかしっかりと確認する必要があります。そうしなければ、偽情報に踊らされ、かえって危険な状況に陥ったり、意図せずして自身も偽情報の拡散に一役買ってしまったりすることもあるかもしれません。SNS上の情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、発信元の確認(ファクトチェック)などを行い、偽情報を拡散しないよう努めていきたいですね。
出典元:【モバイル社会研究所】
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