近年、Z世代の中で進んでいる「電話離れ」。スマホを手に、SNSで連絡を取ることには積極的な若者が多いにもかかわらず「電話」が嫌いな人が多いのは何故でしょうか。今回は、一人一台はスマホを所有しているにもかかわらず進む「電話離れ」について解説します。
20代の74.8%が「電話に苦手意識を感じる」
株式会社ソフツーが2023年10月に発表した「電話業務に関する実態調査」によると、「電話に対して苦手意識を感じていますか」という質問に対し、「とても感じる」「やや感じる」と答えた20代は74.8%にもなります。30代でも64%が「とても感じる」「やや感じる」と答えており、若者の電話離れの傾向は顕著です。
「電話嫌い」の理由
若者の電話嫌いの理由としては「手を止めて対応する必要があり、効率が悪い」「内容が事前に分からないのでプレッシャーを感じる」「記録として残らない」といった理由が考えられます。
手を止めて対応する必要があり、効率が悪い
若者が電話を避ける理由の一つに「手を止めて対応する必要がある」という点があります。たとえば自分がアルバイトやインターンをしていたり、大学の授業中の場合でも「メール」「LINE」での連絡であれば、後から内容をチェックできます。
一方で電話であれば、仕事や勉強、作業の手を止めて対応したり、後で折り返しの電話を入れる必要が生じます。「効率が悪い連絡手段」であると電話は見なされ始めていると言えるでしょう。
内容が事前に分からないのでプレッシャーを感じる
電話でのコミュニケーションは、事前に内容を把握したり準備したりすることが難しいという特徴があります。仮においおい電話でのやりとりが必要になるとしても「メールやLINEで事前に内容を伝えられているか」の有無は、電話を受ける若者にとっては大きな点です。まったく初耳の内容を電話で聞かなければならないとしたら、メモの必要も生じ「記録が残りづらい」「メモの手間がある」などめんどくさいと感じる若者も多いです。
20代の8割はSNSのDMを友人と連絡を取る際に利用する傾向
ソフトバンクニュースが2024年3月に発表したコミュニケーションツールをめぐるアンケート結果によると、「電話とメッセージではどちらを選びがち?」という質問に対し、20代~60代の全年齢で約90%がメッセージを選んでいました。
一方、実際使うツールについては20代の26%がSNSのDMを「毎日使う」と回答。さらに「毎日~1年に数回」にまで範囲を広げると80%になります。なお、30代になると「毎日使う」層が15%に落ち込んでいることから、20代が特に多い傾向にあります。
InstagramのDMを日常的に利用するケースも増加
株式会社SheepDogが運営する塾の比較サイト「塾マップ」が2023年2月に発表した「連絡手段に関するアンケート」の結果によると、10代の男女の12%が友人と連絡を取る際のツールとしてInstragramのDMを使っているそう。
圧倒的に多いのが81%の「LINE」ですが、それに比べると「電話」は5%で、InstagramのDMの方がコミュニケーションツールとして台頭しているのが分かります。
出典元:【塾マップ】
電話は「テキストベースのコミュニケーション」の補完策へと変わっていくかも?
若者の電話離れが進む一方で、電話というコミュニケーション手段が完全に消えてなくなるわけではありません。どちらかといえば電話は「役割が変化していく」可能性が高いでしょう。
たとえば、ビジネスの場での緊急性の高い案件や、複雑な説明が必要な場合など、テキストでは伝えきれない状況において電話が活用されるケースは減らないでしょう。また、重要な商談や交渉の際に電話が必要な場面もあり、「苦手だから」といって若者が電話から逃げることはできないでしょう。
一方、すべての連絡を電話でする必要はないため、年齢層が高い「電話派」も積極的にテキストコミュニケーションを取り入れていくことが大切。今後、ビジネスシーンでも電話とテキストコミュニケーションの併用が増えていくと思われます。