年金は老後の収入源の一つ。だが、将来の年金制度がどうなるのか不明であることから、「今の生活も苦しいのに、どうなるか分からない年金の保険料を支払いたくない」と考える人も多いだろう。会社員であれば給与から天引きされるため否が応でも支払っているはずだが、自分で納付しなければならない個人事業主やフリーランスの納付状況はどうなっているのだろうか。
個人事業主やフリーランスの20代~30代のうち、4割弱は未納期間あり
まず国民年金についておさらいしておこう。国民年金には大きく3種類あり、第1号被保険者(主に個人事業主、その他、パートタイム等で勤務し会社の社会保険に加入していない人)、第2号被保険者(会社の社会保険に加入している人、つまり厚生年金に加入している人)、第3号被保険者(第2号被保険者の扶養に入っている人)のいずれかに該当する。第3号被保険者はそもそも納付義務がないため、自分で納付しなければならないのは第1号被保険者だけ。20歳から60歳まで納付することが原則となるため、学生であっても納付義務は発生する。
では第1号被保険者の納付状況はどうだろうか。YouTubeチャンネル「脱・税理士スガワラくん」が、20歳以上40歳未満の第1号被保険者(個人事業主、フリーランス)の男女300人を対象に「国民年金保険料」についてアンケート調査を実施した。「国民年金の未納期間はありますか?」という質問に対し、「未納はない」と答えた人は62.3%ときちんと納付している人は約6割という結果に。残りの約4割(37.7%)は未納期間があるようで、なかには「10年以上」(4.7%)や「支払ったことがない」(6.0%)というツワモノも見られた。
経済的な理由で未納の人が約7割。なかには将来の年金受給に懸念がある人も
未納となっている原因は何なのだろうか。未納期間がある113人に「国民年金未納の理由は何ですか?(複数選択可)」と尋ねると、「収入が少ないから」が35.4%と最多だった。「経済的に支払いが困難(収入が少ないは除く)」が30.1%と続き、経済的に苦しいという理由が主な理由であるようだ。また、「将来自分がもらえるかわからないから」(25.7%)や「支払総額よりも受給総額が少ないと思うから」(12.4%)という、年金受給の不安による未納も見られ、年金制度への不信感もある。2024年度の国民年金保険料は一カ月16,980円、2025年度はさらに引き上げられて17,510円になる。「もらえるかわからない年金を当てにするより、その分のお金で投資をして老後資金を作りたい」と考える人もいるだろう。
では未納があるとどうなるのだろうか。現在は、国民年金を満額払うと65歳から年間816,000円がもらえるようになっている。だが未納があるともらえる年金は減額され、納付期間が10年未満の場合は1円ももらえない。
また、未納があると障害年金と遺族年金はもらえない。障害年金とはケガや病気によって日常生活や仕事に制限されるような障害を負った場合に国から補助される年金、遺族年金は配偶者が亡くなった場合に遺族が受け取ることができる年金だ。これは現役世代も対象になる。さらに督促を無視し続けるとやってくるのが、財産の差し押さえ。承服しない限りは差し押さえにはならないが、2023年度は30,789件の差し押さえがあり、滞納している本人だけでなく、配偶者や世帯主など家族の財産までが差し押さえの対象となる。さらに本人の預貯金口座も凍結されるという、最悪の結末が待っている。
すでに未納であっても、過去10年分は追納制度を利用して納付できるため、今からでも納付した方がよいだろう。
出典元:【株式会社スガワラくん】