オレオレ詐欺や架空請求などに代表される特殊詐欺や、高額報酬をエサに犯罪実行者を募集する闇バイトは、近年社会問題となっている。警視庁による2023年の特殊詐欺認知件数は1万9千件以上。被害総額は452億円以上となっており、波はあるものの年々拡大傾向にある。これは、闇バイトがスマホ普及により低年齢化、犯罪意識の希薄さから若者たちに広がっていることも影響しているだろう。果たして、Z世代は特殊詐欺や闇バイトについてどう考えているのだろうか。
特殊詐欺より闇バイトの方が、Z世代にとって身近な言葉
日本テレビは、15歳~29歳の男女1200人を対象とするアンケートから、特殊詐欺・闇バイトへの若年層の認知度についての調査結果を発表した。「特殊詐欺という言葉を知っていますか?」という質問に対して、「はい」が59.4%、「いいえ」が40.6%という結果に。特殊詐欺で知っているものは、オレオレ詐欺が90.2%と断トツの認知度で、続いて架空料金請求が63.7%、還付金詐欺が55.0%、預貯金詐欺が32.4%となっている。
オレオレ詐欺は1999年頃から世に広まった言葉。その後、手口の多様化によりオレオレ詐欺を含めて「特殊詐欺」という名称が2013年頃から使われるようになっている。Z世代にとっては生まれた時からあった犯罪であるにも関わらず、認知率は6割弱という結果だった。
一方、「闇バイトという言葉を知っていますか?」という質問については「はい」が72.8%、「いいえ」が27.2%という結果だった。闇バイトという単語の方が、Z世代にとっては身近な存在と言えるだろう。闇バイトにどんな印象を持っているかを尋ねると、「給料が異常に高い」70.7%、「仕事内容が明確でない」50.2%、「連絡手段がSNSに限定」48.2%、「応募できる性別が限られる」14.6%という回答結果となっており、報酬の高さで闇バイトかどうかを判断しているのかもしれない。
SNSをよく利用するZ世代は、特殊詐欺犯罪への加担リスクも身近に
闇バイトはSNSやネットの掲示板などで募集されていることが多いが、Z世代はそういった情報を目にしたことはあるのだろうか。「SNSを利用していて闇バイトの勧誘を見たことがありますか?」と聞いたところ、「はい」が11.9%、「いいえ」は88.1%だった。その内容は「運び屋関係」53.8%、「口座売買関係」44.1%、「オレオレ詐欺」40.6%、「強盗関係」18.2%という結果だった。
最も認知度が高かったオレオレ詐欺の募集を実際に目にしたことがあるのは4割程度で、気づかぬうちに犯罪に巻き込まれてしまう危険性があると言えるだろう。
「闇バイトの勧誘を受けたことがありますか?」という質問に95.5%が「いいえ」と答えているものの、4.5%は「はい」と答えている。また、「闇バイトに関わった知人はいますか?」と聞いたところ、「はい」が4.6%、「いいえ」が95.4%と遠い存在というわけではない様子。スマホやSNSで相手の顔や身元がわからない状態でコミュニケーションをとることに慣れているZ世代にとって、特殊詐欺や闇バイトへ関わってしまうリスクは高いと言えるだろう。
闇バイトは、一度荷担すると脅迫などにより逮捕されるまで抜けられない。そして「バイト」とあっても報酬を手にすることができず、行き着く先は犯罪者としての重い刑罰だ。手口が巧妙になっている特殊詐欺を対岸の火事と思わず、備えたいものだ。
出典元:【日本テレビ放送網株式会社】
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