急激に全国的に普及した「スキマバイト」。「タイミ―」や「メルカリ ハロ」に代表されるスキマバイトアプリを介して、手軽に空き時間にすぐアルバイトができ、給与の支払いも受けられます。この「スキマバイト」は一見すると、従来の日雇い派遣と似ているように感じられます。では「スキマバイト」アプリを使った仕事は「日雇い派遣」と何が違うのでしょうか?
スキマバイトと日雇い派遣は「雇用関係」が違う
スキマバイトと日雇い派遣の最も大きな違いは「雇用関係」です。スキマバイトアプリを通じて働く場合、多くは直接雇用の形態を取ります。つまり、働く人と企業が直接契約を結びます。日雇い派遣(※2024年現在は原則禁止)の場合は、派遣会社を介して働く形です。いわば「間接雇用」となり、労働者派遣法の規制を受けます。
またスキマバイトアプリでは、多くの場合、面接や履歴書が不要で、アプリ上での簡単な手続きですぐ仕事を始められます。一方で派遣では、派遣会社への登録や面接が必要で、スキマバイトアプリで仕事を探して応募するよりは「手間がかかる」傾向が強いです。
日雇い派遣は「原則禁止」されている
前述の通り、2024年現在「日雇い派遣」は原則禁止されています。
日雇い派遣は、2012年の労働者派遣法改正により原則禁止されました。この法改正は、不安定な雇用形態から労働者を保護するための措置という一面があります。
このように書くと、いわゆる「スキマバイト」的な働き方をしたい方にとって、派遣はただめんどくさい上に短期で働けないという「デメリットが強い働き方」のように映るかもしれません。
しかし派遣は、『雇用契約を労働者本人(自分)と派遣会社の間で結ぶ』、『派遣法による労働者の保護がある』といった点のメリットは大きく、派遣先企業とトラブルがあった際には派遣会社は仲介に入る役割も持ちます。こうした「保護」がスキマバイトには及んでいない上、雇用主側が極めて多様化している点は労働者側にとっては不安点でしょう。
スキマバイトの雇用主は「中小企業」「個人事業主」まで広く拡大中
代表的なスキマバイトアプリとしては「タイミ―」が幅広く知られていますが、冒頭でもご紹介した通り、たとえばメルカリがスキマバイトサービスとして「メルカリ ハロ」を展開するなど、スキマバイトアプリは市場が拡大中です。
そして「メルカリ ハロ」は2024年10月、大手以外にも、中小事業者、個人事業者でも求人掲載を可能とする発表を行っています。
一方、雇用主が拡大すればするほど、昨今社会問題となっている「闇バイト」に繋がるおそれも。こうしたリスクに対するメルカリ ハロ側のコメントは「求人をしっかり監視していくことが重要」といった言及にとどまっており、「スキマバイト」アプリで個人事業主レベルでも求人が可能になることについては、不安視する声が大きいのも事実です。
実はスキマバイトアプリ登録者の約半数が「会社員」
ちなみにスキマバイトアプリ登録者は、学生や専業主婦(主夫)よりも「会社員」が多いことが判明しています。
「Ponta(ポンタ)」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティングが2024年7月に発表した「スキマバイトに関する調査」によると、スキマバイト経験者の50.8%が会社員だそう。背景にあるのは、副業・兼業の規制緩和や、働き方改革の影響。空き時間を有効活用して収入を得たい会社員が、自分のスケジュールに合わせて柔軟に仕事を選べるスキマバイトを活用していると思われます。
つまり良くも悪くも、立場のある一般企業の「正社員」の方が、休日などに中小企業や個人事業主が募集する「スキマバイト」に気軽に応募し、個人情報を相手方に提供できてしまうのが現状です。
そして手軽に求人に応募できる一方で、気を付けなければならないのが「闇バイト」。普通にバイトをしようと思っていたはずが、いつの間にか個人情報を握られていて、強盗などに加担しなければならない事件が相次いで報じられています。
たとえばSNSでは「ホワイト案件」「DMにて応募」「限定〇人」などの文言で募集されており、報酬も異様に高いのが特徴。一方で仕事内容は「電話受付」など、一般的な仕事内容しか書いていないこともあり、判別しにくいという特徴はあります。
スキマバイトに応募する際はそのバイト内容が本当に信頼できるかよく見極め、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。