マイクロモビリティは環境に優しく、短距離移動に適しているとして、都市部を中心に注目を集めている。利用しているユーザーをちらほら見かけるが、その認知度や利用実態、今後の展望はどうなのだろうか。
マイクロモビリティの認知度は約4割、うち約3割が利用経験あり
MMD研究所は2024年10月、18歳~69歳の男女7,000人を対象に調査を実施した。その結果、39.4%がマイクロモビリティを認知、うち28.6%が利用経験ありということが分かり、新しい交通手段としてのマイクロモビリティが着実に人々の意識に浸透していると言える。実用的な移動手段として受け入れられつつあるようだ。
さらに調査結果を見ていくと、運転免許の保有状況によってマイクロモビリティの認知度や利用経験に差があることも明らかになっている。運転免許保有者の認知度は43.6%で、非保有者の26.2%を大きく上回っており、利用経験についても保有者が30.2%、非保有者が20.6%と、保有者の方が高い数値となっている。運転免許保有者の方が移動手段に関する情報により敏感であり、新しい交通手段にも積極的に取り組む傾向があると言える一方で、運転免許を持たない人々にとっても、マイクロモビリティが新たな移動の選択肢となりつつあることがうかがえる。
人気のマイクロモビリティサービスはLUUP、ドコモ・バイクシェア、Lime
では、どのサービスが人気なのだろうか。利用経験者に最も利用したサービスを尋ねたところ、「LUUP」が30.3%でトップに。続いて「ドコモ・バイクシェア」が9.1%、「Lime」が8.9%だった。LUUPは国内最大級の電動キックボードシェアサービス。東京、大阪、横浜、京都、神戸、名古屋、広島、宇都宮などで展開し、基本料金は50円、1分ごとに15円加算とお手頃な価格設定になっている。月額980円のサブスクプランも提供するなど、ユーザーの囲い込みにも積極的だ。ドコモ・バイクシェアは全国58エリアに3770カ所のポートを展開し、主に都市部でサービスを提供している。Limeは世界最大級の電動モビリティシェアサービスで、2024年8月に日本に上陸。東京都内6エリア(渋谷、新宿、目黒、世田谷、豊島、中野)で展開している。
また、利用者がマイクロモビリティを選ぶ理由としては、「短距離の移動」(24.8%)が最も多く、次いで「自分のペースで自由に移動」(24.1%)、「環境に配慮した乗り物であるため」(21.0%)となっている。マイクロモビリティが都市生活者のニーズに合致していると考えられるため、今後ますます普及していきそうだ。
マイクロモビリティのさらなる普及には、ポート(乗り捨て・返却場所)の増設は避けられないだろう。設置してほしい場所として最も多かったのは「交通施設」(32.7%)で、次いで「商業施設」(30.2%)、「コンビニ」(28.1%)だった。これを見ると、やはり日常的な交通手段としてマイクロモビリティを活用したいと考えているようだ。
日本では2023年7月に16歳以上であれば免許がなくても乗れる「特定小型原付」区分が新設され、マイクロモビリティは都市部における短距離移動の新たな選択肢として着実に浸透しつつある。ポートの設置場所の拡大など、インフラ面での整備などが課題となっているが、都市部の渋滞問題や環境問題の解決の一助となりうるだろう。今後の動向にも注目していきたい。
出典元:【MMD研究所】
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