アプリを介して空き時間に気軽にアルバイトができる「スキマバイト(スポットワーク)」が全国的に普及しています。実際に雇用する企業は、スキマバイトを行う人(スポットワーカー)に対してどのように思っているのでしょうか。そこで今回は、「『スポットワーカー』の活用について」のアンケート調査を見ていきましょう。
約4割の企業がスポットワーカーの活用に前向き
株式会社帝国データバンクでは、1685社を対象に「『スポットワーカー』の活用について」のアンケート調査を実施。まずはじめにスポットワーカーの活用に関する企業の意識を調査すると、「既に活用している」が8.3%、「活用を検討している」が5.3%、「検討はしていないが、興味はある」が24.5%で、活用に前向きな企業は約4割(38.1%)であることが明らかになりました。
では、スポットワーカーの活用に前向きな企業はどのような考えを持っているのでしょうか。運輸・倉庫業界からは「季節要因への対応として一時的にスポットワーカーを雇っている」、繊維・繊維製品・服飾品小売業界からは「最低賃金の上昇に加え、新規人材の確保も容易ではないため、活用を検討している」との声が寄せられています。
このことから、スポットワーカーを活用するのは“人手不足”が背景にあると考えられます。
リスク管理やコストの発生へ懸念の声も
一方で、「人手不足の解消には有効だと思うが、労働者の質が分からないため、望んだ成果を得られないなどの懸念点がある」「スポットワーカーの活用は人手が足りない隙間の時間を埋められるメリットがあるが、さまざまな人間が入れ替わることで内部的な情報漏洩も考えられ、検討段階にとどまっている」など、リスク管理や採用ミスマッチに不安を感じ、活用を躊躇する企業の声も寄せられています。
スポットワーカーの活用に関する企業の意識調査で「興味はない」と回答した企業は49.8%と半数近い結果となりました。興味がない理由として、「作業の正確性やスピードを担保することが難しい」「受け入れ・教育コスト、業務の分担など、スポットワーカーを受け入れるためのコストや労力がかかる」など、品質の低下や作業効率の悪化、コストの発生に課題を感じることがあげられています。
「小売」「運輸・倉庫」といった業界が活用に前向き
続いて、スポットワーカーの「活用に前向き」な企業の割合を見ていきましょう。まず主な業界別で見ると、「小売」が50.6%、「運輸・倉庫」が46.8%で、全体の38.1%を上回る結果となりました。さらに細かい業種で見ると、ガソリンスタンドなどの「専門商品小売」が55.2%と最も高い結果になっています。
専門性の高い業界は親和性が低い?
一方、活用に前向きな企業として割合が低かったのは、ソフト受託開発などの「情報サービス」や「建設」でした。情報サービス業界からは「技術職なのでスポットワーカーでできることが少ない」、建設業界からは「建築業は専門性が高い業種のため、活用は難しい」という声が寄せられています。専門性の高い知識やスキルが必要な業界においては、スポットワーカーとの親和性が低いようです。
「タイミ―」「メルカリ ハロ」などを代表とするスキマバイトアプリを請け負うスポットワーカーの活用は、人手不足の解消に有効的です。しかし、品質の低下やリスク管理への懸念の声も多く、半数以上の企業が活用に興味がないことが明らかになりました。
スポットワーカーを活用する際には、自社業務との親和性やコスト・リスクへの対応などをしっかりと見極める必要があると言えます。とはいえ、働き方の多様化や人手不足の深刻化などが取り沙汰される最近の社会情勢において、スポットワーカーの活用は選択肢に入れる必要があるのかもしれません。
出典元:【株式会社帝国データバンク】
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