ショッピングモールやレストランなど、日本の小売業界では店舗のデジタル化が急速に進んでいる。キャッシュレス決済やセルフレジ、デジタルサイネージなど、さまざまなテクノロジーが導入され、買い物体験が大きく変化したが、消費者はどのように感じているのだろうか。
73%がキャッシュレス決済やセルフレジ、セルフオーダーといったデジタル化に賛成
Square株式会社とMMD研究所が2024年11月に実施した「実店舗のデジタル化に関する消費者の意識調査」では、18歳から69歳の男女1万人を対象に、店舗のデジタル化に関する意識を調査した。
その結果によると、店舗のデジタル化に「賛成」または「やや賛成」と回答した人は全体の73.0%に上り、多くの消費者がデジタル化を受け入れているようだ。デジタル化に取り組む店舗を利用したいと考える消費者も60.9%と過半数を超えており、デジタル化が進む店舗の利便性を実感している様子が見てとれる。
消費者が店舗で利用したいデジタルツールについては、1位が「キャッシュレス決済」(52.6%)、2位「セルフレジ」(40.8%)、3位「セルフオーダー」(21.5%)という結果となった。
これらのツールを利用したい理由としては、キャッシュレス決済は「支払い方法の幅が広がる」、セルフレジは「待ち時間が少なくなる」、セルフオーダーは「店員を呼ぶ必要がない」といった点が挙げられる。店舗利用時のストレスとして、「混雑やレジ列の待ち時間」(56.5%)や「店員を呼んでもこない」(38.4%)といった点が挙げられており、デジタル化によって解決できている店舗が選ばれているようだ。
デジタル化の課題はシステム障害、不慣れな人への配慮、セキュリティ
良いこと尽くめのように思えるデジタル化だが、不安や課題はないのだろうか。消費者が感じる主な不安は、1位「システム障害による不便さ」(36.1%)、2位「デジタルに不慣れな人への配慮不足」(33.4%)、3位「セキュリティ面での不安」(29.4%)という結果だった。これらの不安を解消し、より多くの消費者がデジタル化のメリットを享受できるようにすることが、今後の課題といえるだろう。
一方、興味深いことに店舗がデジタル化しても、60.2%の消費者が店員との会話を減らしたくないと回答している。特に50代(65.4%)や60代(70.1%)で、この傾向が強く見られ、デジタル化が進んでも、人間味のある接客や対面でのコミュニケーションの価値が失われないことを示唆している。店舗は効率化とともに、人間らしい温かみのあるサービスのバランスを取ることが求められるでしょう。
出典元:【MMD研究所】