新年の風物詩でもある年賀状だが、デジタル化が進む現代では、その文化に大きな変化が見られる。葬儀の口コミを運営する株式会社ディライトが実施した「年賀状と喪中はがきの文化」に関する最新の調査結果によると、2025年の新年の挨拶として年賀状を出さない人が約6割に達することが明らかになった。
6割以上がすでに年賀状じまい済み、今年から年賀状じまいを予定の人も多数
調査は、20~70代の男女を対象に実施された。「2025年、新年の挨拶として年賀状をはがきで出す予定ですか?」という質問に対し、62.6%の回答者が「出さない」と答えている。年賀状を出さない理由として最も多かったのは「年賀状じまい」。年賀状を出すのをやめることを指す「年賀状じまい」だが、64.3%の回答者が「年賀状じまいをすでにしている」と回答し、さらに14.7%が「今年から年賀状じまいを検討している」と答えている。
では、年賀状を出さない人々は、どのように新年の挨拶を行うのだろうか。調査結果によると、最も多かった回答は「LINE」で46.7%、次いで「特に行わない」が44.0%、「メール」が15.0%となっている。デジタル化や簡略化が進む中で、「特に行わない」と回答した人が多いことから、形式的な挨拶を疑問視する人も多く、新年の挨拶を行う文化そのものが必須とは見なされなくなっているようだ。
年賀状じまいの理由は「手間の軽減」が最多
年賀状じまいを選択する理由としては、「手間の軽減」が43.2%で最も多く、次いで「メールやSNSなど電子的な手段で十分」が42.7%、「人間関係の整理」が20.6%となっている。
これらの結果から、年賀状を出さない背景には、新年の挨拶文化の希薄化に加え、限られた時間を効率的に使いたいという忙しい現代人の生活がうかがえる。また、2024年10月からは郵便料金が大幅に値上げされた。年賀はがきの価格が63円から85円に値上がりしたことで、コスト面からも年賀状を控える動きが加速したと言えるだろう。
年賀状だけでなく、喪中はがきについても簡略化の傾向が見られる。調査では、約7割の回答者が喪中はがきを「出していない・出さない」と回答しており、年賀状を出さない割合よりも高い結果となっている。
また高齢化に伴い、年賀状と合わせて終活の一環として喪中はがきを簡略化する動きも広がっている。知人の訃報を知る手段としては、依然として喪中はがきが最も多い(63.7%)ものの、次いでLINE(31.4%)、電話(28.3%)となっており、情報伝達の多様化が進んでいると言えそうだ。
年賀状や喪中はがきの文化が簡略化していくことについては、約8割が賛成している。だが、約2割の回答者は簡略化に反対の立場を取っており、「やや反対である」が14.8%、「とても反対である」が4.0%となっている。反対派の意見としては、伝統が失われることや人間関係の希薄化を懸念する声が挙げられている。
「年賀状を出すか出さないか問題」は、新年の挨拶という文化そのものの在り方を問い直すきっかけとなっているようだ。効率性や利便性を重視する現代社会において、伝統的な習慣をどのように継承し、あるいは変化させていくのか、今後の動向を見守りたい。
出典元:【葬儀の口コミ】
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