タワーマンションって何階以上のことをいうの? タワマンの定義ってあるの?

現在では地方都市でも増えているタワーマンション(タワマン)。「オレもいつかは住んでみたい!」と密かに思っている人も多いのでは? でも、いったい何階建てからがタワマンになるのだろうか? そもそも、タマワンって普通のマンションと何が違うのだろう? 今回はそんな素朴な疑問にお答えしよう。

20階以上で高さ60m以上あればタワーマンション

(Image:Shutterstock.com)

 大都市では珍しくなくなったタワーマンション(タワマン)。果たして一般的なマンションとの境目はどこなのだろうか? 20階以上? 30階以上? この質問に答えられる人は意外と少ないだろう。実はタワマンの定義はハッキリと定まっていないのだ。
 まず、建築基準法第20条第1号では、高さが60mを超える建築物はそれ以下の建物とは異なる建築基準を設定していることから、“60m以上ある建築物が超高層ビル”と呼ばれる。これを根拠にすると、「60m以上の高さがあれば超高層マンション=タワマン」ということになる。また、マンションの1階の高さは通常約3.1~3.3m程度あるが、20階を超えるマンションは高さ60m以上ある計算になるので、「およそ20階以上ならタワマン」と言っても差し支えないだろう。
 ちなみに、ひと目でタワマンかどうか判断できる方法があるのをご存じだろうか? 日本の航空法第51条では、地表から60m以上の高さの建造物に航空障害灯の設置が義務付けられている。つまり、夜間、ビルの上で赤いランプが点灯していれば、確実に60m以上あるタワマンだと判断できるのだ。
 なお、タワマンには非常事態に対応するヘリポートが設置されている。消防庁の「緊急離着場等設置指導基準」で設置基準によれば、高さ31m超の高層ビルには緊急救助スペースを、100m以上の超高層ビルにはヘリが離発着できるヘリポートの設置が要請されているのだ。

建築基準法第20条第1号では、高さが60mを超える建築物を“超高層ビル”と定義している。マンションの1階の高さは通常約3.1~3.3m程度あるので、20階以上なら60mを超えるため「タワマン」と言える

日本の航空法第51条では、地表から60m以上の高さの建造物に航空障害灯の設置が義務付けられている。つまり、夜間、ビルの上で赤いランプが点灯していれば、確実に60m以上あるタワマンだと一目でわかるのだ

100m以下のタワマンは緊急救助用スペース(R)が、100m以上のタワマンではヘリの離着陸が可能なヘリポート(H)が設置されていることが多い。つまり、ヘリポートがあれば立派なタワマンといえるだろう

日本ではいつからタワーマンションがあるの?

 それにしても、日本にはいつ頃からタワマンがあるのだろうか? 日本の建築基準法では景観や技術的な問題で、ビルの建築には31mの高さ制限(百尺規制)があった。しかし、1961年にこれは撤廃され、日本でも超高層ビルの建築が可能になったのだ。これにともない、1968年には日本初の超高層「霞が関ビルディング」(36階・147m)が完成する。その後、1970年代に入ると西新宿に次々とオフィス用の超高層ビルが建てられた。
 日本初のタワマンと言われているのは、1971年建築の「三田綱町パークマンション」だが、高さ52mの19階建てなので、現在の基準ではぎりぎりタワマンとは呼べない。その次となると、1976年に住友不動産が建築した「与野ハウス」になる。こちらは高さ66mの22階建てなので、正式には「与野ハウス」が日本のタワマン第1号と言えるだろう。
 その後、1980年代に入ると佃島に8棟のタワマンからなる「大川端リバーシティ21」が着工し、日本にも本格的なタワマン時代が到来する。1990年代のバブル崩壊後は工場跡地や湾岸エリアの再開発が加速し、2000年代に入ると都心では次々とタワマンが建てられた。現在では日本全国で年間50~100棟のタワマンが建てられており、もはや珍しいものではなくなったのである。

日本初のタワマンと言われているのが、1971年建築の「三田綱町パークマンション」。だが、高さ52mの19階建てなので、現在の基準ではぎりぎりタワマンではない

1986年着工の「大川端リバーシティ21」。佃島に8棟のタワマンが立ち並ぶ。もっとも高いセンチュリーパークタワーは1999年3月に完成。地上54階、高さ180mを誇る

文=今井真人/フリーライター

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