東京をはじめ首都圏などの鉄道を運行するJR東日本は2020年の9月、翌春のダイヤ改正から「東京100km圏の各路線の終電時刻を繰り上げる」と発表した。現在コロナ禍でリモートワークなどが普及し利用客の数も減っていることは間違いない。しかし今でも毎日終電まで残って業務を続けているビジネスパーソンも多く、そうした人々への影響は避けられないだろう。
今回は、終電の早まりで誰にどんな影響が出るか、ネット上の反応などをご紹介していく。
30分の繰り上げで会社も飲食店も大わらわ?
JR東日本が発表したところによると、「終電繰り上げ」は現在の発車時刻から30分ほど繰り上げる計画だという。その理由として、現在“新しい生活様式”への変化もあり、深夜帯は電車の利用客が以前と比べて3分の1ほどまで減っていること。さらに夜間における鉄道設備の保守作業の時間確保も課題となっていることなどを挙げ、利用者の理解を求めた。
さらにJR東日本の発表後、JR西日本や東急電鉄、京浜急行、九州を中心とする西日本鉄道なども相次いで終電の繰り上げを検討していることを表明。関東だけでなく日本全国にこの動きが広がる気配を見せている。
たかが30分。されど30分。終電が早まることで、これまで終電時間ギリギリまで働いていた人々は大きな影響を受けることになるはずだ。平日であれば残業に精を出していたビジネスパーソンや、日付が変わる前後まで営業していた飲食店の従業員などが巻き込まれるかたちになるだろう。消えた30分の間にやっていた作業を前倒しで行うか自宅などに持ち帰るかは当人の判断によるが、単純に「30分勤務時間を減らして働き方改革になりました」となる未来は考えづらい。もし改革を進めるのならば、相応の業務の見直しは不可欠となってくるだろう。
ネット上でも終電繰り上げに対し、当事者・第三者に関わらず賛否両論の様々な意見が噴出している。「そうしたら我はどうやって帰ればいいんだろう」「終電30分繰り上げは21時半には店出ないとだめなのね」といった、これまで終電間際の電車を利用していた人々の戸惑いの声は多く聞こえてくる。また「通勤・通学で必要な人は一定数いるでしょうから、極力残して欲しいです。旅客列車は、物ではなく、人の生活を運んでいるので」「残業や夜勤で帰宅の足がなくなってしまうから、素泊まりできる施設を提供すべきだと思いますね…」など、終電利用者の利便性を案じるユーザーも少なくなかった。
一方で、「残業も終電まで、みたいなのは時代遅れすぎる」「乗務員をはじめとする現場側にとってはせめてもの吉報になってくれるといいですね」と、繰り上げに賛同する意見も十分に存在し、半強制的にでも国の進める働き方改革を推進する効果を期待していた。
世の中には、日常的には終電とは無関係でも休日になると外食などで長居して終電を利用する人も少なくないため、終電繰り上げに反対の立場を取る人も多いだろう。だが社会全体で見たときに、終電繰り上げがどんなメリット・デメリットを生むのか。この問題は、一人の都合ではなくもっと大局的な視点で捉える必要があるのかもしれない。