PSエミュレータ「ePSXe」に必要なPS1のBIOSの吸い出し/設定方法を解説!

懐かしのPSソフトを楽しむことができる、PSエミュレータ「ePSXe」。「ePSXe」の動作にはBIOSが必要不可欠だ。しかし、BIOSはインターネット上からダウンロードすると違法のため、自分で吸い出す必要がある。BIOSの吸い出し方を紹介しよう。

ePSXeを動作させるのに必要なPS1のBIOSとは?

PS1やPSPのソフトをパソコン上で動作させることができる「ePSXe」。しかし、「ePSXe」単体ではPS1やPSPをパソコン上でエミュレートさせることができない。「ePSXe」の動作にはPS1、PSPのBIOSが必要不可欠だ。BIOSがなければ「ePSXe」でPS1やPSPが動作しないので「ePSXe」と合わせてこれらのBIOSを準備する必要がある。

BIOSとは、コンピューターが最初に起動させるソフトウェアだ。Windows PCの場合はPCの電源を投入後、BIOSが起動して各種必要な処理を行いその後、BIOSによってWindows OSが起動される。このように、「ePSXe」でもPS1、PSPをエミュレータとして動作させるには、最初にPS1やPSPのOSを呼び出すためのプログラムであるBIOSが必要になるのだ。

ここまでの説明で分かるように、「ePSXe」の動作に必要なBIOSはソフトウェアの一種である。察しの言い方であれば、BIOSも「ePSXe」と同様にインターネット上からダウンロードしてしまおうと考えるだろう。しかし、BIOSのダウンロードは違法だ。PS1やPSPのBIOSには製造元などが所持する著作権の関係があり保護されている。そのため、BIOSを入手するには、自分でPS1やPSPからBIOSを吸い出す必要があるのだ。そのため、ダウンロードするのではなく、すでにある現物PS1、PSPからBIOSを自分で吸い出すようにしよう。また、実施する場合は必ず自己責任で関連法令等を正しく理解して行い法令違反などを行わないように注意することが大切だ。

BIOSの吸い出し方法(PSPの場合)

「ePSXe」ではPSPのソフトを動作させることができる。その場合、PSPのエミュレート用に、PSPから吸い出したBIOSが必要となる。現物のPSPからBIOSを吸い出す方法を紹介しよう。

事前に必要なもの

PSPから「ePSXe」で必要なBIOSを吸い出すためには、現物の「PSP」本体、PSPで利用可能なメモリーカードである「MemoryStick Duo」、PCにMemoryStick Duoスロットがない場合には、カードリーダーもしくはPSPとPCをUSB接続できる「USB-Miniケーブル」が必要である。

なお、PSPについては非公式ファームウェアである「CFW」が導入されている必要がある。「CFW」とはPSPに導入できる特殊な改造ファームウェアである。CFWについては、導入によって故障や不具合が起きたときには保証が一切なくなったり修理できなくなったりするだけでなく、著作権など法令的にも違反する場合があるので実施する場合にはくれぐれも注意が必要である。

また、PSPは現在発売は終了している。そのため、PSPの現物が手元にない場合にはオークションサイトやフリマアプリ、リサイクルショップなどで中古品を探すと良いだろう。入手後はCFWを導入して特殊なソフトを起動することでBIOSをMemoryStickDuoに吸い上げる。

MemoryStickDuoについて、MemoryStickDuoはSDカードのような形をしているがSDカードとは異なる。現在、MemoryStickDuoの流通量もかなり減ってきているため、MemoryStickDuoが手元にない方はPSPと合わせて、MemoryStickDuoも中古で準備したほうが良いだろう。

吸い出し手順

BIOSの吸い出しに必要なものを準備できたら、実際にPSPからBIOSを吸い上げてみよう。BIOSを吸い上げるにははじめにPCで、BIOSの吸い上げ専用のソフト(EBOOT.PBP)をMemoryStickDuo内にダウンロードする必要がある。このソフトのダウンロードはソフトウェアのソースコードやドキュメントが公開されているGithub上で公開されている。

ダウンロードしたソフトは、MemoryStickDuo内の専用フォルダに格納する。MemoryStickDuoをカードリーダーでPCにつなぐか、PSPをUSBケーブルでPCに接続してMemoryStickDuoの「PSP\GAME」内に、「POPS_BIOS」というフォルダを作ってダウンロードしたソフトをコピーしよう。最終的に、「PSP\GAME\POPS_BIOS\EBOOT.PBP」という構成に慣ればOKだ。

その後、MemoryStickDuoをPSPに装着(PCとPSPの接続を解除)してから、PSPのゲーム一覧に「New UMD Dumper v0.2」と表示されているゲームがあるので、これを起動しよう。起動後、自動的にBIOSの吸い出しが開始される。

PSPの画面に「Press X to exit」の文字が表示されたら、BIOSの吸い出しは完了だ。MemoryStickDuo内を確認すると「PSX-BIOS.ROM」というファイル名で、PSPのBIOSが生成されている。

なお、CFWが導入されていないPSPの場合は「New UMD Dumper v0.2」が表示されないか、表示されても起動することはできない。また、自分で吸い出したBIOSファイルをインターネット上で公開したり共有したりすると法令に違反する恐れがある。何度も言うがこれらの行為は、法令に違反する可能性もあるので完全に自己責任で行う必要がある。

ツールはこちら → EBOOT.PBP

BIOSの吸い出し方法(PS1の場合)

PS1の場合においても、現物PS1からBIOSを吸い出す必要がある。PS1からBIOSを吸い出す方法を紹介しよう。

事前に必要なもの

PS1のBIOS吸い上げに必要なものを紹介する。PS1の場合、BIOSの吸い上げには初期型の「PS1現物 (SCPH-1000)」が必要だ。また、適当なPS1のゲームソフト、PS1のメモリーカード、CECH-ZM1Jと呼ばれるPS3でPS1のメモリーカードを利用できるようにするための専用「メモリーカードアダプター」(PS1のメモリーカードがUSB接続できるようになる)、データ書き込み用CD-Rが必要となる。

PSPと異なり、PS1ではデータの書き込みには汎用性のあるMemoryStickDuoやSDカードは利用できない。そのため、大容量のBIOSを吸い出すためには、今となっては超低容量(1MB程度)のPS1専用メモリーカードで何回かに分けて都度、PCにデータを移動させながら吸い出し作業を行う。

また、専用のソフトの動作もメモリーカード上からは行えないので、PS1のゲームソフトと同じ規格であるCDで専用ソフトを動作させる必要がある。これにデータ書き込み用のCDを用いる。よって、PCに書込み可能なCDドライブがない場合には追加でCD書き込み用ドライブが必要となる。

・吸い出し手順

吸い出しは、はじめにPCでBIOS吸い出し用ソフト「PSX BIOS Dumper」をCD-Rに書き込む。その後、PS1での作業に移るがはじめの段階では、作成したCDではなく用意した適当なPS1ソフトをPS1に入れて蓋を開けた状態で起動して、SONYのロゴが暗転している時にディスクを作成したCDと入れ替える。

この動作により、PS1で「PSX BIOS Dumper」が起動できる。ソフト起動後、画面に「Part1」~「Part5」が表示されるのでこれを選んで「Part1」から順に、メモリーカードへの書き込みとPCへのデータ移動を繰り返して行う。

PC上に「Part1」~「Part5」までファイルが揃ったら、ダウンロードしたソフトに付属する「BIOSmerge Windows」フォルダの中にこれらをコピーしてからBIOSmerge.exeを起動するとPS1のBIOSが結合されて、一つのBIOSファイルが完成する。

ツールはこちら → PSX BIOS Dumper

PS1のBIOSの設定方法・使い方

PS1、PSPのBIOSを吸い出しできたら、「ePSXe」でこれらを利用する設定を行おう。

「ePSXe」を起動して「設定」→「BIOS」と進む

BIOS設定画面が表示されるので、吸い出したBIOSを指定すれば完了だ

BIOSはダウンロードすることができる?

これまで解説したようにBIOSの吸い出しには、現物の準備や複雑な手順を踏む必要がある。では、BIOSはダウンロードすることはできないのだろうか?

BIOSのダウンロードは違法!

BIOSについて、ダウンロードについてはインターネット上にBIOSを違法アップロードしている、ユーザーがいればそこから理論上はダウンロード可能だ。しかし、もちろん違法アップロードされたBIOSをダウンロードすることは違法なので絶対にやってはいけない。

※サムネイル画像(Image:AkeForever / Shutterstock.com)

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