2020年の7月にスタートした「Go To トラベルキャンペーン」は、開始から約3ヵ月が経ち世の中に馴染んできたように感じられる。新型コロナウイルス感染症の影響によって一時はほぼ無くなってしまった人の移動も、日に日に回復してきている。しかし、そんなGoToトラベルに対しては「感染拡大を助長する」という観点から否定的な意見が残っているのも事実だ。
今回は、そんなGoToトラベルに対してどんな反対意見が出てきているのかご紹介し、キャンペーンの問題と改善方法を考えていきたい。
危機的な観光地を支援するためのキャンペーン
2020年に入り突如世界的に流行したコロナ。日本国内でも4月に入って緊急事態宣言が発令され、感染防止のためにあらゆる流通がストップしたことは記憶に新しい。当然、国内外の旅行も厳しく制限され、日本全国の観光地が未曾有の大打撃を受けた。GoToトラベルはそんな観光地に対する国の公的な支援策のひとつだ。旅行者は、目的地までの往復の交通費や現地で飲食などに使える地域共通クーポンといった上限2万円の給付が受けられ、全国の観光地への旅行を後押ししている。
また、10月からは「Go To Eatキャンペーン」もスタートし、コロナ禍で営業自粛など観光地と同じく大きな損害を被った飲食店業界への支援も行われている。
しかしGoToトラベル以前に人の移動を制限していたのは、コロナの拡散を抑えるためだ。コロナがまだ完全に終息しきっていない段階で移動を推奨しだすのは、元の木阿弥になるおそれが否定できないのは間違いない。
オンライン署名収集サイト「Change.org」でも、キャンペーンのスタート前から「Go To キャンペーンに反対します」とした署名活動が始まり注目を集めた。発信者によれば「GoToキャンペーンを中止し、その予算を医療現場や豪雨の被災地、コロナ禍に苦しむ中小事業者などのために使うべきだ」としている。この署名は、10月20日の時点で14万4000人以上の署名が集まっている。
国としてもGoToトラベルが感染拡大の引き金とならないよう、「3密対策の徹底」や「旅行時の毎朝の検温」などをキャンペーンを利用する旅行者に要請している。さらに宿泊施設にも感染防止策の指導を行っている。その成果と言うべきか、「延べ556万人がGoToトラベルを利用した」という9月1日の報告の中で、利用者の中で新型コロナ感染者は6人に留まっていたことが伝えられている。感染の原因になっている場合もあるが、“拡大”にまでは至っていないという。
結果論で言えば、多くの人々が日本各地で旅行を楽しむことで、観光地も活力を取り戻すことができているのは間違いない。一方で、少ないながらも感染者が存在し、誤差レベルながらコロナが拡散されこともまた事実。2021年1月まで続くGoToトラベルだが、これからも感染拡大につながらないよう細心の注意を払うことが重要だ。またこのキャンペーン一本に絞るのではなく、医療現場や様々な被災地も手厚く保護して、日本全体が一日でも早く今までの活気を取り戻すように注力していただきたい。
参照元:Go To キャンペーンに反対します【Change.org】