新型コロナウイルス感染症の影響を受け、この1年で生活様式が一変した。テレワークやオンラインコンテンツの普及により、自宅で過ごす時間、すなわち家族と過ごす時間が増えた人も少なくないだろう。それにともない、「家事」をする時間が増えたのも事実。家事と言うと甘く見られがちだが、一説によると女性の家事を賃金に換算すると年収360万円ともいうのだから、生半可な労働ではないはずだ。
そんな家事を、あなたの家庭ではきちんと分担できているだろうか?「もちろんできている」、そう思った方こそ注意していただきたい。ある調査で、家事の分担について夫婦間で大きな意識の差があることがわかったのだ。
男性は「平等」、女性は「3:7」の意識の差
家電機器メーカー大手のパナソニックは、2020年4~6月に「With COVID-19 Before/After 価値観定点調査」を実施。「コロナ前とコロナ中、夫婦の家事分担率は?」という質問に対し、男性はコロナ前43.2%、コロナ中45.6%の家事を行っていると回答した。一方で、女性はコロナ前79.0%、コロナ中76.1%の家事を行っていると回答。すなわち、男性が「夫婦で半分ずつやっている」つもりの家事が、女性にしてみれば「女性が80%近くの家事をこなしている」と感じているのだ。
この差が生まれる原因は男性側の「やってあげている」という潜在意識の表れなのかもしれない。今でこそ男女平等の考え方が浸透しつつあるが、一昔前までは家事は女性がやるものとされてきた。そんな価値観の変化に立ち会った世代だからこそ、家事という労働について、「本来はやらなくてもいいこと」という認識が拭いきれていない可能性も十分にある。
それでも、「洗濯も風呂洗いもやっているし、家事は平等にできている」と主張する男性もいるだろう。こうした男女の意識の差を生んでいる要因のひとつとして、“名もなき家事”の存在が挙げられる。名もなき家事とは、「食べ残しの食品を冷蔵庫にしまう」、「手洗い場のタオルを取り換える」、「脱ぎっぱなしの服をクローゼットやタンスにしまう」といった、はっきり名前が付けられないが無限に存在する家事のこと。昨年、コピーライター・梅田悟司氏の著書『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』が発売され、発売2週間で6万部を記録。総計120種類もあるという名もなき家事とその大変さに、世の主婦たちからは共感の声が殺到した。
一つひとつを見れば大したことのない労働なのかもしれない。しかし、ちりも積もれば山となり、名もなき家事をこなしていたら1日が終わっていたなんてことは女性にとってあるある話だ。男性はこの機会に、家庭内に散らばった名もなき家事を認識し、夫婦間の助け合いについて改めて考えてみてはいかがだろうか。
参照元:「しない家事」ニーズは過去3年で最高に。夫婦間のすれ違いは、「夫の“知らぬ家事”」から!?【パナソニック】