新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい始めて、既に1年近くが経過した。あなたはこの期間中に帰省をしただろうか。東京などの都会では多くの感染者が出ていたこともあり、夏のお盆の季節には多くの地域が帰省の自粛を求めていたことは記憶に新しい。では、2020年の年末年始もただ帰省自粛を求めるだけだろうか。
今回は、ニュー・ノーマルでの盆と正月の姿にスポットライトを当てていく。
コロナで帰省が制限された世の中で
現在では既に全国的に感染が広がっているコロナだが、夏場はまだコロナに対する過敏な反応もあり感染者への周囲の反応も厳しいものがあった。とくに都市部から移ってきた人の感染が発覚し周囲へと感染を広げた際には、テレビなどでもこぞって取り上げられ半ば“つるし上げ”のような状態になっていたことを覚えている読者もいることだろう。そのため各地域は感染拡大防止やつるし上げの防止を意識してか、お盆のような長期連休の前になると大学生など都市部に出ている人々に対して「今年は帰省を控えてほしい」と発信。“オンライン帰省”など新たなかたちのつながり方が生まれ、コロナ禍で広く浸透したニュー・ノーマルの存在感が強まった。
そのため現在でも、毎年恒例だった実家への帰省が1年近く叶っていない人も多いはずだ。加えて現在は11月に入ってから、コロナの“第3波”が到来していると警鐘が鳴らされている。1ヶ月で完全に収まるとは考えづらく、年末年始の帰省も取りやめることになる可能性が高く、丸一年実家に顔を見せていない、といった状況に陥りかねない状況だ。そのせいもあって、帰省の代わりにお歳暮を贈る“帰省暮”という新たな提案も生まれだしている。
そんな中で行われた富士フイルムの調査によると、「年末年始の帰省の代わりにやりたいこと」の設問で1位となったのは「家族写真付き年賀状を送る」だったという。
近年はLINEなどのチャットツールやメールの隆盛で、手紙を送る習慣が減っている。当然、年賀状も例外ではなく、2000年前後を境に年々減少が続いている状況だ。そんな中で、2位の「メールやLINEなどで年末年始の挨拶を送る」、3位「テレビ通話などで顔を見て話す」デジタルな手法を抑えて“年賀状”というツールが選択されたのだ。これは「直接会う」というアナログな手法が制限された時代だからこそ、同じアナログの温かみを持つ年賀状に想いを託しているのではないだろうか。
これは筆者の勝手な想像だが、あえて年賀状を送ることを選択した人たちは例年のように文章までプリントアウトで済ませるのでなく、1枚1枚に文字を書き込んで送るようにも思う。手書きの文字というアナログの力は、物理的にはソーシャルディスタンスでも心の距離を対面ほどに近づけてくれるのかもしれない。
参照元:年賀状に関する意識調査を実施 帰省の代わりにしたいこと1位は「家族写真付き年賀状を送る」祖父母の8割が「家族写真付き年賀状が届くと嬉しい」【富士フイルム】