現在、飲食店を悩ませていることのひとつに「予約の無断キャンセル」がある。ここ数年はテレビなどでも積極的に取り上げられるようになり、SNSでは「貸切でコース料理を予約していた客が来ず、仕込んでいた食材が丸々無駄になった」という飲食店の嘆きの声が注目を集めることもたびたび起こっている。しかし今回、このコロナ禍で「無断キャンセルが減少した」という調査結果が発表されたのだった。
今回は、無断キャンセルが減った背景にある、「Go To Eatキャンペーン」の影響についてお伝えしていきたい。
飲食店の大敵“無断キャンセル”とは
「No show」とも呼ばれる無断キャンセルは、これまでも様々な場面で問題視されてきた。無断キャンセルは、当事者のお客から入るはずだった売上が入らないというダメージだけでなく、来ないお客のために席を空けておくことにより他のお客が来店できなくなる機会損失。さらに、仕込んでいた食材の廃棄にかかる費用やお客の対応のために出勤していた従業員の人件費などもバカにならず、予約が大人数になるほどキャンセル時のダメージが大きく膨らんでいく。2018年に経済産業省が発表したレポートによれば、無断キャンセルによる損失額は飲食業界全体で年間2,000億円にのぼるとされている。
飲食店向け予約管理システムを開発するTableCheckが2020年11月に実施した調査によると、コロナ禍以前に「無断キャンセルをしたことがある」という回答者は11.6%。実に10人に1人は無断キャンセル経験者であることがわかった。その理由は「場所確保のためのとりあえず予約」が、この調査を始めた2018年から4回連続で1位となった。また、上位の理由には「うっかり忘れ」「人気店をとりあえず予約」など、本人としては軽い気持ちで入れた予約が無断キャンセルにつながりやすいことが明らかとなっている。
一方で、コロナ禍の飲食需要喚起のために導入されたGo To Eatを利用した予約で「無断キャンセルをした」という回答は3.3%と、コロナ前の割合よりも低い水準に。この割合の低減には、「おトクなキャンペーンの利用機会を逃したくない」という還元を受けられるGo To Eatの集客力や、感染対策など以前と比べると“気軽には”利用しづらい環境が影響しているのだろうか。コロナによって一気に来客数が減ってしまったことは事実だが、無断キャンセルの発生率という点に絞って言えば、コロナが良い影響を与えたと言えるのかもしれない。
さらに今回の調査で特徴的だったのは、無断キャンセルの理由で「体調不良」が、1年前の6位から2位まで急上昇していたことだ。ここ最近は電車内で咳をするのもはばかられるほど、周囲の体調に敏感になってきているご時世だ。体調不良で来店を断念するのは致し方ない判断と言えるだろう。であれば今後は、体調が優れない場合は無断キャンセルではなく店舗に連絡を入れてキャンセルを伝えてみるのもいいかもしれない。
参照元:コロナ禍の無断キャンセル理由、「体調不良」が急増。Go To Eatオンライン予約、キャンセル少ない傾向【TableCheck】