ガソリンスタンドでは「ハイオク」「レギュラー」「軽油」の3種類の燃料を給油できる。さすがに、自分の車の燃料を入れ間違えることはほとんどないだろうが、レンタカーを借りたときや車を買い替えたときなどは、間違った燃料を入れてしまう場合もあり得る。そこで今回は、もし車に間違った燃料を入れるとどうなるのか? どう対処すればいいのか解説しよう。
そもそもレギュラーとハイオクってどう違う?
政府は、2030年半ばにガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出したが、現状ではまだまだガソリン(レギュラーとハイオク)や軽油(ディーゼル)を燃料とする車も多い。ガソリンスタンドではハイオクが「黄」、レギュラーが「赤」、軽油が「緑」に色分けされているし、自分の車の燃料を間違って入れる人はほとんどいないだろう。だが、レンタカーを借りたときや車を買い替えた場合には、うっかり間違った燃料を入れる可能性はある。もし、燃料を間違えて給油した場合には、いったいどのようなトラブルが起きるのだろうか?
そもそも車のエンジンは、シリンダー内でガソリンを気化させて空気と混合したものをプラグで着火&燃焼させることで、ピストンを動かす仕組みになっている。高出力や低燃費のエンジンは、高圧縮比で大パワーを得るため低圧縮比で燃焼するとパワーが出ない。また、適切でないタイミングで燃焼するとノッキング(振動)が発生し、エンジンを痛めてしまうのだ。そのため、高性能なエンジンは、高圧縮比で適正に燃焼するハイオクを使用し、そうでないエンジンは低圧縮比でも燃焼するレギュラーを使っているのである。
ちなみに、日本車はレギュラー、外国車はハイオク仕様が多いが、これは日本と外国ではガソリンに含まれる添加物の割合(オクタン価)が異なるから。日本では、オクタン価が96以上を「ハイオク」、89以上~96未満のものを「レギュラー」と呼んでいる。
それでは、燃料を間違えた場合を個別に解説しよう。まず、「レギュラー車にハイオクを給油した場合」はとくに問題はない。昔、筆者の知り合いに「パワーが出るし洗浄効果もあるから」と言って、レギュラー仕様の国産スポーツカーに高価なハイオクを入れていると自慢している人がいたが、実際にはその効果はわずかなので、レギュラー車にムダに価格が高いハイオクを給油する意味はないのである。
だが、逆に「ハイオク車にレギュラーを給油した場合」は規定のパワーが出なかったり燃費が悪くなるほか、古い車では稀にノッキングを起こす可能性がある。このような理由から、ハイオク車なのに、燃料代をケチってレギュラーを入れるのはおすすめできない。
ガソリン車に軽油を入れると大変なことになる!
燃料間違いで注意してほしいのは、「ガソリン車に軽油を給油した場合」だ。そもそも、ガソリン(レギュラー/ハイオク)と軽油は性質が異なるため、エンジン内での燃料の方法も異なる。したがって、ガソリン車に軽油を入れると、不完全燃焼でパワーが出ず、マフラーから黒煙が出る。そして、最後はエンジンが停止してしまうのだ。実際、筆者は高速道路のガソリンスタンドでこれをやられたことがあり、最初はガソリンが残っているのでなんとか走れるが、やがてノッキングが始まりパワーが出なくなる。異常に気付きなんとか次のパーキングエリアまで走れたが、そこでJAFを呼んで、軽油を全部抜いて洗浄したうえでガソリンを入れ直したため、後処理がかなり面倒であった。
もちろん「ディーゼル車にレギュラーを入れた場合」も面倒なことになる。軽油に比べガソリンは潤滑性が低いため、エンジンは作動していてもマフラーから白い煙が出てパワーが出なくなる。最終的にはエンジンが壊れて修理費用が数十万円単位でかかるケースもあるのだ。
いかがだろうか? ガソリン車で「レギュラー」と「ハイオク」を間違えて給油してもさほど大きな被害はないが、「ガソリン(レギュラー&ハイオク)」と「軽油」を間違えると、エンジンが停止したり最悪の場合はエンジンが壊れることもある。万一、間違えて給油したことに気付いたら、ただちに停車して適切に後処理をしよう。
参考元:なぜ減らない「燃料入れ間違い」 ガソリン車に軽油はNG! ハイオク車にレギュラーはどうなる?【くるまのニュース】