近年、働き方改革等の一環で注目を集めている「副業」という働き方。世の中でも「副業を認める・推奨する」といった企業も少なからず出てきている。サラリーマンの働き方を多様化し、自分に合った仕事をしながら生活の質を向上させるという意味では非常に先進的な取組みのようにも思える。しかし今回、副業を行っている人々を対象とした調査の結果で、副業の実情が見えてきたようだ。
今回は、副業という選択が本当にサラリーマンにとって幸せになるための手段になり得るのかを考えていきたい。
国も推奨する副業は幸せを生むのか?
副業とは文字通り、主な収入源となる「本業」に対してサブで行う仕事だ。本業の勤務が終わってから、自宅近くのコンビニでアルバイトしたり、自宅で自分のもつスキルを活かしたクラウドソーシングに励んだりと、そのジャンルはさまざまだ。
そんな副業を行っている人々に対する意識調査を、都内でバーチャルオフィスを貸し出すレゾナンスを運営する株式会社ゼニスが2020年10月に実施。その調査結果からさまざまなことが見えてきた。
調査の回答者は、男性566名、女性497名の計1,063人とほぼ半々となっていた。その中で、男性で47.0%、女性も45.9%が「2020年に本業の収入が減った」と回答。また「副業をはじめたきっかけ」についても「収入額を増やしたかった」という声が男女ともに50%を超えており、2位の「収入源を増やしたかった」と合わせて70%前後にのぼっている。まさに副業は「やりたいことをやるため」というよりも、「本業のマイナスを補てんするため」という、生きるための選択であることが伺えた。
また、副業の内容についても男女ともに「アンケートモニター」が1位に。対面だけでなくオンラインでもできるため、スキマ時間で回答するだけでいい手軽さや、コロナ禍で人との不必要な接触を避けたいと思う時勢にマッチしている点も人気の要因かもしれない。
一方でそうした副業の収入を問う設問では、「月1万円未満」が最多となり全体で33.2%と、3人に1人が1万円も稼げていないのだという。また、「5万円未満」までの回答を総合すると73.7%とほぼ4人に3人が該当する結果に。「2020年に収入が減った」という人のうち男女ともに90%前後が「1万円以上減った」と回答しているだけに、減収分を補てんできていない現実が明らかとなった。
そうした人々の心の叫びも反映してか、「副業をしていて困ること」でも全体の45.3%が「想定していたよりも収入額が少ない」と回答している。加えて「確定申告などの手続きが煩雑」「忙しくて本業に影響が出る」がともに20%以上にのぼり、副業はあまりコストパフォーマンスのよい選択とは言い難い様子が伺えてきた。
当然、副業をしている人々の中には本業で生計を立てながら、イラストやデザイン、文章作成など「自分のやりたいこと」に挑戦している人も少なくない。よく知られる例では売れない芸人や役者がアルバイトなどで食いつないでいるのも、そうした前向きな副業のひとつだろう。
だが、そうした何かひとつ目指したい志を持っていない限り、副業でサラリーマンを幸せにすることはまだ難しいと言えそうだ。読者の中にいま副業に興味を持っているのであれば、勢いではじめるのではなく「現実的に可能かどうか」をまず考えてみていただきたい。
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