メルカリが本格的な転売対策に乗り出すことが分かった。同社の発表によると、相場価格と懸け離れた価格での出品を行なう商品に対しての注意喚起を行う模様。規約上の出品禁止物でなくても、不当な価格だと同社が判断した場合は、注意喚起の対象となるという。
今回はこの発表が意味する今の日本経済の危機と、なぜメルカリが自ら出品を制限するような発表を行なったかについて考えていく。
転売が疑われる商品に注意喚起!買う前に適正価格を確認しよう
「メルカリ」では、相場と懸け離れた値段で出品された商品に対して、注意喚起を行う機能を実装すると発表した。規約上の出品禁止物以外の商品でも、同社が需給のバランスが著しく崩れていると判断した場合は、注意喚起の対象となる。また今後、高額取引が予想される商品の発売前後には、購入者への注意喚起も行い、「メーカーサイトでの適正価格の確認」を促すなど、購入者の冷静な判断や行動につなげたいとしている。
近年、“転売ヤー”という言葉が広く知られるようになった。ブランド品や限定品をプレミアム価格で売り利益を得る人々だ。昨年はとくに新型コロナウイルス流行に伴い、マスクやアルコール消毒などの転売による利益を狙った、不当な買い占めが大きな社会問題となった
先に述べたマスクやアルコール消毒はもちろん、任天堂のゲーム機「switch」や身近なコンビニ玩具など、これらを転売していたのは学生や主婦などいわゆる“一般の人々”だったともいわれている。もはや「国民総転売ヤー時代」が訪れていると言っても過言ではないだろう。転売は一部の人々の問題では無くなっている。
さらに昨今の傾向としては、これまでは転売と言えば利益の大きなブランド品などが主であったが、最近では人気漫画のコミックや、鬼滅の刃の載った新聞広告など利益が出るのならば、ありとあらゆるものが見境なく出品されている。全てのものにプレミアム価格が付いてしまう今の日本社会は、本当に欲しい人の手に商品が行き渡らないだけでなく、企業としての経済活動も著しく侵害しており、正当な経済が今まさに崩壊しつつあるだろう。
この現状を招いてしまったのはフリマアプリの普及が大きいだろう。誰もが簡単に売買を行なえるフリマアプリによって、出品のハードルが大きく下がり、悪意ある転売行為に手を染める人が増えているのだ。
フリマアプリとして市場を戦う一番の武器は“出品数”である。しかし今回のメルカリの発表は、その武器を自ら制限するものだといえるだろう。国民の混乱を招いてしまった責任を取ったという意味で、今回のメルカリの決断は素晴らしいものと言えるはずだ。勇気を持った機能実装に敬意を表したい。
「ラクマ」や「PayPayフリマ」など、今フリマアプリ界のシェア争いは激戦となっている。目先の利益に踊らされず、社会のための機能の実施に踏み切ったメルカリの姿勢を我々がしっかりと評価することができれば、今後メルカリは業界の先導者として、他フリマサービスに対して優位に立つことができるだろう。
参照元:メルカリ、高額出品のアラート機能を実装へ マスク、PS5など“悪質出品”に対抗 個人間取引の原則を策定【ITmedia NEWS】