個人・家庭向け電気サービス「楽天でんき」などを手掛ける楽天エナジーは1月26日、同サービスの新規の申し込みを一時停止することを発表した。一時停止の理由は、「電力需要の高まりによる市場状況の変化」であると説明されている。楽天でんきはその名の通り楽天グループの一員であり、楽天ポイントが貯まるなど“楽天経済圏”を利用するユーザーにとってはメリットの大きなサービスであることは間違いない。
今回は、楽天でんきの新規募集一時停止が今後どう影響を及ぼしていくかに迫っていきたい。
冬の寒さの影響で電力市場に異常アリ!?
今回楽天エナジーが新規申し込み停止を発表したのは、楽天でんきとそのビジネス版「楽天でんき Business」、さらには都市ガスサービスである「楽天ガス」の計3サービスだ。この苦渋の決断には、最近の猛烈な寒さで暖房による電力使用が増加したり、天候が悪く太陽光発電が満足に行えなかったことなどで、年明けから電力の市場価格が高騰していることが影響していると見られている。
実際に1月29日には、経済産業省が各送配電事業者に対して「利用者の電気料金の負担が激変しないように」と柔軟な対応を要請したほど電力市場はひっ迫しているようだ。そのため楽天でんきでも、企業がカバーできる範囲を制限するため今回の募集一時停止に踏み切ったのだろう。
楽天でんきは楽天グループのサービスということもあり、一番の強みは楽天ポイントが使えること。料金の支払いでもポイントを貯めることができ、楽天でんきや楽天の他サービスで貯めたポイントを支払いに利用することもできるおトクさがユーザーの支持を集めている。さらに支払いも「楽天カード」を利用すればポイントの多重取りもできるといい、このあたりはやはり楽天グループらしい商売上手な面が光っている。
しかしそんな“おトク”が武器の楽天でんきも、今回の市場価格の上昇には対応に苦戦していることは間違いなさそうだ。今後の状況の変化によっては、サービスのおトクさがグレードダウンしてしまったり、おトクさを維持するために電気料金が上昇したりしてしまうようでは元も子もない。「こんなに高いならよその電力会社でもいいや」と、ライバル他社に乗り換えるユーザーが出てこないとも限らないのだ。
また、楽天でんきのユーザーの減少は“楽天経済圏”の住人の減少とも言える。年明けだけで見ても、すでに「楽天ゴールドカード」のポイント付与率のダウンを発表したことでネット上からは「改悪だ」との声も聞こえてきたばかり。ユーザーの心が離れてしまう施策を続けることにならないように祈りながら、今後楽天でんきがこの局面をどう乗り切るのか、動向を見守っていきたい。
参照元:新規お申込み一時停止のお知らせ【楽天エナジー】
※サムネイル画像(Image:energy.rakuten.co.jp)