新型コロナウイルスの影響で、外食産業は大きな痛手を被り、いまだ先の見えない深刻な状況にいる。そんななか、回転寿司「スシロー」を全国に展開する株式会社スシローグローバルホールディングスの2020年度9月期の連結決済で、売上収益が2,049億円と過去最高を記録した。さらに都心を中心に都市型新店舗を続々とオープンさせるなど、コロナの嵐が吹き荒れるなかで順風満帆な舵取りを見せ、快調に走り続けている。
コロナ前から進めていた方針が追い風に
なぜ今これほどスシローが好調なのか?それにはいくつかの理由があるようだ。そもそもコロナ以前より、ラーメンやスイーツなどをサイドメニューに取り入れファミリー層を中心にぐんぐんと売り上げを伸ばしていたスシロー。加えてセルフレジや自動受付機の導入を進め、省人化にも力を入れていた。そこへこのコロナ禍。少人数でファミリーが中心の客層であること、入店から支払いまで非接触のシステムが整っていること、テイクアウト・デリバリーも対応済みであること、などが思わぬ追い風となり、売り上げが伸びたのだった。
そして、その勢いに乗り、スシローの都心への出店ラッシュが続いている。コロナ禍で居酒屋などの閉店が相次ぎ、今までなかなか空きが出なかった、都心にある好条件の物件に続々と空きが出てきている。このタイミングを狙い、スシローは都市型店舗を次々にオープンさせているという。3月中旬には都市型店舗のなかでも最大規模となる座席数が200以上の「スシロー新宿三丁目店」をオープン、続いて渋谷や大阪の梅田などにも新規オープンする予定だという。さらに都市型店舗限定の上質な高額メニューを提供するなど、ファミリー層だけでなく新たな客層も積極的に取り入れていく狙いだ。
2度目の緊急事態宣言が発令され、まだまだ外食産業にとってコロナの影響は大きく、長く続くだろう。そんななかでスシローが次に打ち出すのはどのような戦略だろうか?都心戦略を本格化し、自動で席を案内してくれる自動案内機や、テイクアウト商品を持ち帰るのに便利な自動土産ロッカーの導入を進めていく。またデリバリーに関しても、すでに「Uber Eats」と「出前館」によるサービスを取り入れている店舗が多数あるが、加えて大阪や福岡に強いフードデリバリーサービス「DiDi Food」の取り扱い店も増やし、よりいっそうの充実を図る狙いだ。
しかしそもそもどれほど感染対策が万全でも、おいしくなければ当然集客は見込めない。スシローはもともと大阪の寿司職人がはじめた回転寿司事業なだけあって、素材の調達、鮮度に強いこだわりがある。新メニューの開発にも力を注いでいる。
時流に乗って店舗を拡大、サービスを充実させた次に求められるのは、満足のいく高いクォリティーだろう。業界トップを独走し続けるスシローの今後に期待が寄せられている。
参照元:スシロー、くら寿司はコロナ禍でも加速 都心に出店攻勢【産経新聞】
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