ヤフーが運営するオークションサイト「ヤフオク!」で、商品の値引きを相談できる「値引き交渉」機能が7月1日に終了することが判明した。値下げ交渉機能とは、出品者の設定した販売価格に対し、入札者が希望価格を提案することで、より安価に商品を手に入れることができるという落札者にとって便利な交渉機能。しかし、ヤフーが「経営資源の選択と集中を検討した結果」と説明する理由により、同機能は終わりを迎えてしまった。値下げ交渉がなくなれば、同機能を求めるユーザーはフリマアプリ「メルカリ」に流出してしまう可能性も考えられる。
CtoCアプリで2強のメルカリとヤフオク!
7月1日に値引き交渉が不可能になるヤフオク!だが、フリマアプリとして勢力を伸ばしてきたメルカリが市場に進出してから、年々利用率はメルカリに後れを取っていた。株式会社ジャストシステムが運営するマーケティングリサーチの「Eコマース&アプリコマース月次定点調査 (2020年8月度)」によると、ヤフオク!の利用率は43.4%、メルカリは52.6%とメルカリがやや上回る結果に。フリマアプリでの手軽な出品が流行する現代において、PCを利用したオークションサイトであるヤフオク!での売買は、あまり受け入れられていないことが伺える。
メルカリでは商品の出品と販売が気軽に行えるだけでなく、ポイント還元やポイントプレゼントキャンペーンも次々に実施している。一方のヤフオク!はPayPayとの連携を行うことで商品が10%オフになるクーポンの発行など、工夫しているように思われる。しかしながら消費者にとっては、出品を行うことでポイントがもらえるシステムの方が、目に見えてお得に思えるだろう。
また、メルカリは3月1日にアリババと業務提携。ECサイトの利用エリアの拡大を推し進めている。中国のフリマアプリ「閑魚」と、日本ではじめて連携販売を行うという。同アプリ上で中国のユーザーから注文が入ると、代理購入用アカウントである「BUYEE公式アカウント」がユーザーの代わりに商品を代理で購入。発送予定の商品の検品や梱包後、中国のユーザーの手に届くのだ。商品の出品から発送手続きなど一連の流れを代理のアカウントが手続きを行ってくれるため、海外発送だとしてもメルカリ出品者は、今まで通りの取引手順で簡単に利用できるという。
越境ECのインフラ構築を行うことで、今後メルカリはアジア圏のユーザーの流入を加速させることができる。そうなれば、現在のEC市場のシェアをさらに拡大し独走態勢に入っていくことも考えられるだろう。
今回のヤフオク!での値引き機能の廃止は、王者・メルカリへの白旗となってしまうのだろうか。今後もネットオークションサイトやフリマアプリの今後の動向にますます目が離せない。
参照元:ヤフオク、値下げ交渉機能を7月1日に終了【Engadget 日本版】