今年の春より運営が予定されていた、マイナンバーカードの保険証利用が10月まで延期されることが分かった。先行して運営を開始していた医療機関にて、トラブルが発生したことが原因だと言われている。
今回は、このマイナンバーカード保険証利用の延期から見えてくる、国民のマイナンバーカードへの意識と、政府として次回の延長は避けなければならない実情を読み解いていく。
サービスの運用開始が半年余り後ろ倒しへ…
政府の手掛けるマイナンバーカードの保険証利用。保険証とマイナンバーカードを組み合わせることで、病院での受付の簡略化や、マイナンバーカードを用いたオンラインサービス「マイナポータル」によって医療情報や個人情報を管理し、処方箋や特定健診等の履歴を用いたこれまで以上に効果的な診療の受診が可能。そのほかにも、e-Taxとの連動により確定申告の補助など様々なメリットが発表されている。政府としては、3月末からの本格運用を前に24都道府県の一部医療機関にて先行運用を開始していた。しかし、今回このマイナンバーカードの保険証利用の本格運用が10月へと延期されることが発表された。
本来であれば、今春より実働が開始しているマイナンバーカードの保険証利用。サービス開始の延期が発表されたのは、先行して運用していた一部の医療機関にて、トラブルが相次いだことが主な原因のようだ。実例としては、「マイナンバーが保険者においてしっかりと紐付けができていない」、「被保険者番号の表示がばらばら」などの問題が集まったことにより、プレ運用期間の延長による立て直し決めた模様。新型コロナウイルスという、経験したことのない条件下であるものの、さすがに半年の延長は当初の計画の見通しが甘かったと言わざるを得ないだろう。
同様にマイナンバーカードの普及を狙った「マイナポイント」の進呈期間も半年延長されることが発表されている。マイナンバーカードの有効活用はもちろんだが、そもそもの普及というフェイズにすら手間取っているようでは、国民も呆れてしまう。そもそも緊急事態宣言や、飲食店の営業自粛など、生活にダイレクトに関わる事態の連続に「マイナンバーカードに注力している場合なのか…」という想いを抱いているだろう。政府からすれば、これ以上国民が白けてしまわないよう、10月の段階での再延長だけは絶対に避けたいところだろう。
デジタル改革担当大臣の平井卓也氏は「6カ月の間で、いろいろな事態に対処できるようになる。今後、遅れを有効に使うことが重要」と会見にて発言したが、もはや国民からすれば「本当に実用できるの?」という不信感の方が強い。時間の“有効活用”も大切だが、まずは一刻も早い実働を願いたい。
参照元:マイナンバーカードの保険証利用、本格運用を延期。10月開始に【Impress Watch】
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