「Trello(トレロ)」前代未聞のトラブル、個人情報漏えいリスクのヤバさとは?

テレワークなど働き方の多様化によって、社員が個人で勤怠や仕事の進捗を登録・確認するためにタスク管理サービス・アプリを使用する機会が増えてきた。それは私たちのような社会に出ているサラリーマンだけでなく、個人のTo Doリストの管理ツールとして学生などが使用しているケースも多い。そんなタスク管理サービスの1つ、「Trello」において前代未聞の個人情報のトラブルが大きな注目を集めている。

サービスを使っていない就活生まで被害に

(Image:Sulastri Sulastri / Shutterstock.com)

Trelloの操作の簡単さや便利さゆえ、IT苦手傾向にある日本の企業でも多く採用されている

 Trelloとは、オーストラリア・シドニーに本社を置くアトラシアン社が運営しているオンラインタスク管理サービス。業界でもユーザー数No.1を誇っているというメジャーなツールだ。操作も簡単で、複数人で仕事の進捗状況を把握できたり、個人でToDoリストの管理をしたりできる。基本的には無料でサービス提供をしており、2013年からは商用有料サービスもスタートしている。

 しかし、そんな便利なツールも一歩間違うと危険で不安なサービスになりかねない、と改めて知らしめる事態が発生した。4月5日の深夜から6日の朝にかけて、Trelloで管理されていた個人情報のうち“公開”設定になっていた情報が、ネット上で誰でも閲覧可能な状態になっていたことがわかった。
 Trelloの情報公開設定は「非公開」「チーム」「組織」「公開」という4つの選択が可能となっており、初期設定では「非公開」になっているという。「公開」以外の設定はいずれも選択したメンバーなど限られた人しか閲覧・編集ができないようになっている。しかし設定を「公開」にするとGoogleなどの検索エンジンにも表示されてしまうため、検索等で“誰でも閲覧できる”ようになってしまったようだ。
 今回公開されていて問題となった情報の中には、Trelloを利用する企業がもつ就職活動中の学生の携帯電話番号や学歴なども含まれていたという。就職活動という精神的にも落ち着かない時期に、個人情報“駄々洩れ”など余計な心労は勘弁してほしいものだ。意図せず公開設定にしていたケースや、自分自身がユーザーでなくとも個人情報が公開されていたかと思うと、「本当にこの会社に情報を渡して大丈夫…?」と疑心暗鬼になる可能性もあり不安はまだ続きそうである。

2020年に流出した個人情報は2,515万47人分(東京商工リサーチ調べ)

 ここ最近、名高いサービスや企業においても相次いで個人情報の管理に関する問題が続いている。だからこそ国民の個人情報に対する不安感は大きいものだと考えられる。
 直近では、楽天モバイルのコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」におけるユーザーの個人情報漏えいだ。いずれもシステムの不具合によるもので2020年の10月と11月に発覚し、総務省からの指導も受けた。さらに事象発生時には楽天モバイルから漏えいの案内がされておらず、一部のユーザーから不信感を買ってしまった。
 また、コミュニケーションアプリ「LINE」もユーザーの個人情報が中国の関連会社からアクセス可能な状態になっていたことが発覚し、会見を開いたことも記憶に新しい。不正アクセスや個人情報の漏えいは確認されておらず、今後中国業務の終了なども発表しているが、こちらも多くのユーザーの信頼を失ってしまったことに変わりはないだろう。

 業務においての情報だけでなく、私的かつ重要な個人情報をデジタル管理している企業も多い現代。システムの安全性、セキュリティに関しても企業側に強化をお願いしたいところだが、“自分の身は自分で守る”危機管理も必要かもしれない。

個人情報“公開”Trello、影響は就活生にも 「想像以上」【毎日新聞

※サムネイル画像(Image:Konstantin Savusia / Shutterstock.com

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