松戸【首都圏格差シリーズ】憧れの街の意外な現実

上野までJRで20分弱という通勤県内に位置し、東京都への通勤率が37%以上という衛星都市が、千葉県北西部の松戸市だ。
松戸には、常磐線、武蔵野線、新京成電鉄、東武野田線、流鉄、北総鉄道の6路線の鉄道が走っており、2015年からは「上野東京ライン」が開業。東京まで乗り換なしで25分、品川まで35分で、空港を利用する際にも便利なベッドタウンだと言える。

住民の生活環境を重視

政令指定都市などに指定されていない市としては日本一の人口を誇り、葛飾区、江戸川区にも接していて、千葉とは言え実際には東京の隣町感覚の下町。イマイチ、人気の都市に名前が上がらないのは、県内の居住人口が1位、2位の千葉市、船橋市の陰に隠れてしまっているからだろうか。
西口にあった伊勢丹は閉店したものの、駅ビルのアトレ松戸、東口にはイトーヨーカドーと生活には事欠かず、買い物に困ることはない。行政サービスや医療などの利便性も高く、市民サービスが充実している。
ドラッグストアチェーン最大手の「マツモトキヨシ」の創業者である松本清氏が、かつて同市の市長を務めており、日本初の即応部門「すぐやる課」を市役所に設置した影響があるのかも。こうした住民の生活環境を重視した松戸では、幅広い子育て支援も実施。2016年には、認可保育所(園)における国基準の待機児童ゼロを達成。国基準外でも、特定の保育所(園)を希望するなどの保留数も、大きく減らすことに成功したのだ。
市では、これまでに31カ所の小規模保育施設を駅前・駅なかに整備。今後は市内全23駅での設置を目指している。医療面では、8時から23時まで利用できる夜間小児急病センターを開設した。

実は犯罪認知率は東京と比べて低い

実際に暮らしてみたマイナス面も目立ってくる。まず、人が多い地方都市にはよくある光景だが、駅前には風俗店が多い。そうした店舗が目立つのは、いい意味でも悪い意味でも栄えた街としては致し方ないのかもしれないが、夜になると近辺に柄の悪いキャッチのお兄さん方がうろつくのも玉にキズだ。ただし警察で認知した刑法にかかる犯罪発生件数は減少傾向にあり、平成27(2015)年の千葉県警の犯罪統計で見ると、人口比率を同じにした犯罪認知率は、東京23区と比べても低い0・99%だ(23区平均値は1・19%、最悪は千代田区の6・32%である)。松戸がコワいのも今は昔といえるかもしれない。

引用元:首都圏格差 首都圏生活研究会 (著)(三交社刊)

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