フェイスブックが不適切なアカウントの排除に本腰を入れはじめている。イギリスの競争・市場庁(CMA)の発表によればフェイスブックは、SNSサービスのフェイスブックと同社の運営するインスタグラム上に存在する偽レビューを売買する16,000のグループを削除したという。偽レビューとは、AmazonをはじめとしたECサイトの商品レビューで虚偽の優良評価をつける行為で、近年その数が急増したことで強く問題視されるようになってきている。
今回は、デジタル化の進む現代の問題でもある偽レビューの存在と、その対策を進めるフェイスブックの取組みについてお伝えしていきたい。
偽レビューはネット通販の厄介者
近年急速に進むデジタル化や2020年の新型コロナウイルスの影響もあり、Amazonや楽天市場といったECサイトの利用が広く浸透してきている。しかしオンラインサービス最大の弱点とも言える「実際の商品を手に取ることができない」というデメリットの影響は大きく、多くのユーザーは商品に寄せられるユーザーレビューが重視されるようになってきている。
そんなユーザー心理を利用するのが、粗悪な商品や悪質店舗をさも良いように騙る偽レビュー。市場分析企業・Fakespotの調査によれば、コロナ禍の影響もあり2020年3~9月に同社が確認した7億件以上のAmazonのレビューのうち、42%が偽レビューであると判定された。割合だけで考えれば「3件レビューがついている商品があれば、うち1件は偽レビュー」というほど身近な話なのだ。
読者の中にもネット通販で「良い評価が多くて買ったのに粗悪品を掴まされた」といった苦い経験を持っていたり、場合によっては「商品が届かず連絡も取れなくなる悪質店舗だった」という、もはや詐欺と言っても過言でない被害に遭われたことのある方もいるのではないだろうか。
そんなECサイトの被害が世界中で起こっていることもあり、イギリス・CMAはフェイスブックなど偽レビュー売買の温床となっているとみられるサービスに対応を要請。それが今回の16,000のグループ削除につながったのだった。
フェイスブックは2020年にも、188のグループを削除し24人のユーザーアカウントを停止させる措置を取っていた。しかし今回は文字通り“桁の違う”対応ぶりを見せた。フェイスブックも本気の姿勢を示したことで、偽レビュー排除の動きはさらに加速することになりそうだ。
また、偽レビューを掲載される側のAmazonも黙って眺めているだけではない。2020年9月には「Amazonが2万件の商品レビューを削除した」という報道も話題を呼んだ。各サービスとも信頼の維持に力を注いでいることが伝わってくる。
掲載される偽レビューを削除しても供給元が残っていると新たな偽レビューが投稿され、供給元を絶つだけでは偽レビューは残ったままになる。現在のように両者が連動して動くことが、偽レビュー撲滅に欠かせないポイントとなるだろう。私たちユーザーが「これは偽レビューじゃないか」と不安にならず、安心してECサイトを利用できる日もそう遠くはないのかもしれない。
参照元:フェイスブックが偽レビューを売買する1万6000のグループを削除、英当局の調査を受けて【TechCrunch Japan】
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