マイナンバーカード申請が急増、過去最多! それでも4割に届かずもはや打つ手なし?

2021年3月、マイナンバーカードの1ヶ月間の申請件数が過去最多となった。政府が2020年から始めた「マイナポイント事業」の締め切りが迫るなかで駆け込み需要があったことが、その大きな要因だ。なかなか普及しなかったマイナンバーカードが、ここにきて大きく進んだように見える。だが、それでも政府が目指す目標にはまだまだ程遠いのが現状だ。アメリカやヨーロッパ、韓国など海外では早くから運用が進んでいるのに、なぜ日本では進まないのか、今後はどうなっていくのか、考えていきたい。

「マイナポイント事業」はカード普及の起爆剤となったか?

個人番号や住所などが記載されていて、身分証明書として利用できるマイナンバーカード

 2016年に始まった日本のマイナンバー制度。社会保障、税、災害対策の分野でより効率的に管理するため全国民に個人番号が付与された。さらに行政の効率化をはかるためにその個人番号が記載された個人IDカードとしてのマイナンバーカードの普及を政府は推し進めてきた。

 その一番の柱が2020年から始まった「マイナポイント事業」だ。期限内に申請したマイナンバーカードで、キャッシュレス決済に20,000円分チャージすると最大5,000円分が還元されるキャンペーン。当初はキャンペーンに参加するためには2020年3月末までにマイナンバーカードを申請しなければならなかったが、その期限が4月末までに延長されていた。

 キャンペーンが始めると右肩上がりに申請件数は増えていき、以前は月に50万件に満たなかった申請件数が、100万件を超すようになり、3月は254万件と過去最高となった。マイナポイント事業がカードの普及に大きく貢献したことは間違いないだろう。しかし、それでも4月22日の時点でマイナンバーカードの交付枚数は約3,743万枚で、人口の4割にも満たない。2022年度末までに全国民に普及させるという政府の目標からは大きく離れ、頼みのキャンペーンが終了してしまう今となっては、その実現はもはや到底、困難と言えるだろう。

度重なる不具合などから、マイナンバーカードへ不信感を抱く国民は多い

 なぜ日本で普及が進まないのか。保険証や運転免許証の代わりに使えたり、コンビニで住民票などの取得が可能になったり、あれば何かと便利なマイナンバーカード。それでも情報漏洩とプライバシー侵害に対する懸念は根強い。現状、国民の半数以上が2020年のコロナ禍での給付金の混乱を経験しても、一回きりの5,000円という餌に釣られることもなく、持たないことを選んでいる。

 それはセキュリティーへの不信感に加え、国民にとって明確なメリットが見えないことが原因ではないだろうか。今後、カードの運用が進んでいき、カードとカードを運営する政府への信頼が高まった上で、カードを持つ明確なメリットがあれば、持たないことを選択している人たちの気持ちも動くかもしれない。

 はたして政府の次の一手はあるのだろうか。より大きなメリットを提示するか、逆に持たないデメリットを生じさせるかしなければ、今後の普及は到底見込めないだろう。このまま進まなければ、政府が義務化へと舵を切る日も近いかもしれない…?

参照元:マイナンバーカード申請急増 5000円給付対象は月内分まで 全国民への普及には乖離【産経新聞】

オトナライフ編集部
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