4月度にテレビで流れたCMの回数ランキングが発表された。1位はリクルートホールディングス「スタディサプリ ENGLISH」、2位はチューリッヒ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド「スーパー自動車保険」、3位は日本コカ・コーラ「綾鷹」と続くのだが、このランキングを携帯キャリアに限って見るとドコモの自信と戦略が垣間見えた。
20位までに携帯通信サービス5つがランクイン
2021年4月度に全国地上波25局とBS放送6局で放送されたテレビCMの回数を、株式会社ゼータ・ブリッジが調査・集計し、発表した。このランキングを、携帯キャリアに絞って紹介すると、5位にランクインしたのがUQコミュニケーションズ「UQ mobile」、7位にKDDI「povo」とau系列が続き、9位ソフトバンク「メリハリ無制限」、12位楽天「楽天モバイル」、13位ソフトバンク「LINEMO」という結果だった。
5位のUQ mobileは、前月は2位、13位のLINEMOも前月は7位だったがランクを下げている。前月からランクを上げたのが、20位から7位となったpovoと、27位から9位のメリハリ無制限、34位から12位の楽天モバイルだ。
ここで注目したいのが、5つも携帯通信サービスがランクインしているにもかかわらず、業界トップのドコモはひとつも入っていない点だ。各社、お得な料金プランの紹介や5Gの訴求など、それぞれの魅力を反映したクリエイティブでユーザー獲得を目指しているのに対し、新プランで話題をさらったドコモの「ahamo」はランク外だったのだ。
これは、テレビCMを流さずとも理解され、支持される自信があったのだろうか。だとすれば、前月からランクを上げたpovoと楽天モバイルは、自信の無さが招いた結果という見方もできるかもしれない。
実際、ドコモの発表によればahamoは契約数が100万件を突破しているとされ、顧客層は狙いどおり30代以下の若い層が過半数を占めているそうだ。若者のテレビ離れが進むなか、30代以下の若い層をターゲットにしているahamoがCMを流すことに効果があるのか疑問を感じるのは確か。今回のランキングに入っていないのは当然の結果だろう。これを受けLINEMO とpovoが戦略を立てなおしどこまで追い上げるかによって、ahamoがテレビCMを多く流す日が来るかもしれない。
今後の携帯通信サービスの業界シェアは、テレビCMへの注力ぶりからも推測することができるかもしれない。各社の新プランもスタートダッシュの成否が固まってくる頃であり、そろそろ新たな動きを見せることも考えられる。4月末には楽天モバイルが、アップルの新商品発表に合わせるようにiPhoneの取扱い開始を発表している。
刻々と変化する業界のパワーバランスに今後も注目していきたい。
参考元:2021年4月度テレビCM放送回数ランキング発表 ~テレビCMにも見られた酒類の自粛とサントリーの躍進~【ゼータ・ブリッジ】