あなたは、この1週間でどれくらいテレビ番組を観ただろうか。2~3回、もしくは1度も観ていないという人も少なくないだろう。今や、「テレビ番組でしか得られない情報」は存在しない時代となった。スマートフォンさえあれば、ニュースは通勤中にアプリで読めるし、ドラマやバラエティ番組といった娯楽的コンテンツならYouTubeやサブスクリプションサービスに腐るほどある。わざわざテレビをつける必要がない、これが近年進行する“テレビ離れ”である。今回、そんなテレビ離れについて新たなデータが発表され、10~20代の約半数が「ほぼテレビを観ていない」ことが明らかになった。
テレビ離れが深刻化…研究員も「衝撃的なデータ」と驚き
NHK放送文化研究所が20日に発表した国民生活時間調査によると、平日にテレビを15分以上視聴した人の割合は、10~15歳56%、16~19歳47%、20代51%、30代63%、40代68%だったという。ちなみに50代は83%、60代は94%、70歳以上95%とシニア層は視聴している人の割合が高め。インターネットを使いこなせる若者ほど、着実にテレビから離れていることがあらためて明らかになった。
これについて、NHK放送文化研究所の渡辺洋子研究員は「衝撃的なデータ。若年層にとってテレビは毎日見る『日常メディア』ではなくなってしまったために減少幅が大きくなった」とコメント。しかし、これは本当に「衝撃的データ」なのだろうか。テレビの特性を考えれば、現代において当然の結果なのではないだろうか。
若者がテレビを観なくなるのも無理はない。インターネット上にさまざまなコンテンツが溢れる現代において、テレビを観るメリットはほとんどないに等しい。
その理由の一つとして、「テレビ番組がつまらなくなっている」ことが挙げられる。近年コンプライアンスの遵守が重要視されるようになったテレビ業界では、誰も敵に回すことなく、誰もがそこそこ楽しめる保守的な企画ばかりが通るようになった。しかしながら、そういった当たり障りのない番組には、当然刺激もなく、面白味に欠ける。一方でYouTubeやネット番組は、テレビと比べてある程度の自由が利く。それが大衆ウケする内容ではなくても、「とても面白い」と評価する人は一定数いるため、そういった人がテレビから流れていくのである。
また、テレビのネット配信が普及したことも挙げられるだろう。とくにドラマやバラエティ番組は、ほとんどがネット配信で観られるようになっており、自分の好きな時間に好きな場所でテレビ番組を視聴できるようになった。ライフスタイルが多様化する現代において、「特定の時間に、特定の場所でしか見られない」というテレビの特性は明らかにミスマッチだ。
「いつでもどこでも」が当たり前になった現代において、どんどん薄れゆくテレビの存在感。家庭からテレビという家電が消える日も、そう遠くないかもしれない。
出典元:「2020年 国民生活時間調査」結果概要PDF2021年5月21日【NHK放送文化研究所】
参照元:10~20代の約半数、ほぼテレビ見ず「衝撃的データ」【朝日新聞 DIGITAL】