「食べ残し」に罰金刑? 中国で可決された「反食品浪費法」ってなに?

中国で「反食品浪費法」と呼ばれる法案が可決された。日本と海外では当然ながら感覚が異なり、食べ物の量もそのひとつ。今後、ふたたび海外旅行で中国に行けるようになっても、調子に乗って頼みすぎたり、何かわからないメニューを興味本位で頼んだりすると食べきれずに罰金を払うはめになるかもしれないので気をつけよう。ただ食品ロスは日本を含む世界的な問題だ。同じように罰金刑が作られてはかなわないので、食べ物のムダを減らす努力をしていこう。

食べ残し文化を捨て、食糧問題に向き合う中国

中国料理は驚くほど大盛りであることもしばしば

 4月29日まで開催されていた中国の全国人民代表大会で、食べ残しを禁止する反食品浪費法が可決された。この法律により、店側が食べ残した客に対して費用を請求できるようになり、逆に大量注文させた店側にも最高で16万円の罰金が科されるようになった。また、現在日本でもYouTubeなどで人気を博している“大食い動画”も、中国国内では禁止の対象に。違反した個人や団体には最高160万円あまりの罰金となるようだ。

 いわゆる“食べ残し法案”は、食品ロスを減らすための取り組みだ。しかし「食事を残さない」ことが美徳である日本とは反対に、中国には「出された食べ物を残すことは、満腹になった証拠」とする文化がある。現地のレストランのみならず日本の中国料理店でも、出される品がことごとく大盛りであることには文化的な背景もあるのだ。その食文化を差し置いて、中国は法案を可決した。そこには世界最大の食料廃棄国であるという汚名を払拭したい思惑があるのだろう。

飢えのない世界への一歩は、日々の食べ残しを減らすこと

 農林水産省の2019年の統計によれば、中国は1億300万トンの食糧を廃棄している世界最大の食糧廃棄国だ。廃棄量が2番目に多いアメリカとも倍近い差をつけて群を抜いていると言えるが、一転、国の人口を考えると見え方が変わってくる。人口を踏まえた廃棄量を考えると、一人あたり222.9キロの廃棄量を出しているオランダがトップ。次にフランス、イギリス、ワースト4のアメリカが177.5キロと続く。中国は75.74キロと主要国のなかでは決して高くない。むしろアジアでワースト1の汚名をいただいているのは一人あたり133.6キロのムダを出している日本であり、毎日一人がお茶碗一杯分の食糧を捨てている計算だ。

 余った食べ物はゴミとして処理される際に環境を脅かす。さらに一部の国で食糧を捨てている現実の裏で、世界の9人に1人は栄養不足という矛盾を抱えており、2050年までに20億人増えると予測される地球上のすべての人のおなかを満たそうと思うと食品ロスは日本や欧米こそ本腰を入れて取り組むべき問題だ。食べ放題の店などで「食べ残したら料金加算」というシステムはあるが、中国のように「お残しは許しまへんで!」なんて法律ができてしまえば窮屈極まりない。そんなことになる前に、食品ロスをもっと真剣に考えたい。

参照元:「食べ残し禁止法案」が中国で可決。大食い動画の配信にも罰金が【bizSPA!フレッシュ

オトナライフ編集部
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