警視庁渋谷署が、特殊詐欺被害防止のためにエヴァンゲリオン風の動画を制作、公開した。渋谷センター街のスクランブル交差点でも動画が流れている。90年代に社会現象になったもののまだオタク文化として見られていたアニメが、2021年になり警察の啓発動画にも取り入れられるほど浸透したことに感慨深い声も。しかし肝心の動画は、情報の詰め込みすぎで初見では文字を追いきれないところが残念だ。
「使徒、襲来」→「詐欺、襲来」
警視庁渋谷署が、多発する特殊詐欺被害を防ぐための15秒の啓発動画を公開した。人気アニメ「エヴァンゲリオン」を想起させる雰囲気の動画となっており、黒バックの画面にコントラストの強い別名“エヴァフォント”と呼ばれる極太の明朝体で「詐欺、襲来」「振り込ませちゃダメだ」などと警告を発する文言が並べられている。動画は7月3日まで公開されているほか、渋谷センター街のスクランブル交差点でも7月末まで流される。
2020年3月に完結編となる映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開となり、まもなく終映を迎えるエヴァシリーズだが、アニメが放送されていたのは1995年のことだ。エヴァは社会現象となったものの、当時のアニメはオタク文化の象徴のような一面もあった。それが、今や警視庁の啓発動画に使われるほどにすっかり浸透している。ネタ元がわかるからこそおもしろいパロディとして成り立つエヴァは、もはや日本人の「必須科目」なのかもしれない。
実は、一歩先にSNSで話題となっていた「エヴァ動画」がある。1月に福岡県が手掛けた緊急事態宣言周知と自粛要請のためのデジタルサイネージだ。JR博多駅構内をジャックするなど福岡市中心部で流され、想像以上のクオリティの高さに「反響はありがたいが、わざわざ見るために出掛けたら本末転倒」として、市の担当者がインターネットでの視聴を呼び掛けるほどの事態に。ネットニュースやSNSに上がっている画像や動画を見るとその迫力は桁違いで、足を止めるレベルだ。
それに比べると、警視庁の動画はやや臨場感に欠ける。また福岡の動画は「緊急事態宣言」や「不要不急」など漢字多めの文言がネタ元との親和性を高めていたのか、内容も頭に入りやすかったが、警視庁の動画は「文字が追えない」との声もあるなど惜しい点もある。しかし、エヴァ風の動画はSNSでも大いに話題になっているし、なんとか一定の役割を果たしたといえそうだ。
参照元:特殊詐欺「振り込ませちゃダメだ」 渋谷に人気アニメ風啓発動画【毎日新聞】
※サムネイル画像(Image:youtube.com)