6月8日、興味深い話題が中国のポータルサイト「綱易」で取り上げられた。中国では、毎年1億本もの大量のボールペンを日本から輸入しているという。ものづくりで考えれば日本製のボールペンよりも中国製のほうが圧倒的に安価なはずなのに、どうして国産品よりも日本の製品が選ばれているのか、その理由を探っていこう。
中国製品は日本製の60年遅れ!?まったく異なるボールペンのスペック
ボールペンと言えば、キャラものやスタイリッシュなものなど、様々なデザインのものが思い浮かぶ。さらには、ペン先が0.38mmの極細のものや、加圧により寝転がりながらでも書くことができるもの、インクがラメ入りで筆跡がぷっくりふくらむものなど、小さな一本のペンに高い技術力が詰まっていて、ボールペンマニアなんかもいたりするほど夢のある商品だ。消せるボールペンが登場したのはここ15年ぐらいの話で、各メーカーは毎年しのぎを削って新しい商品を開発し続けている。……というのは日本の話で、どうやら中国ではまったく事情が異なるようだ。
中国製のボールペンは「半分くらい使ったら、理由もなくインクが出なくなる」という。さらに、書いているときに引っかかりを感じたり、インク溜まりやにじみが頻繁に発生してしまったり、中性ボールペンの耐水性が低いため、わずかな水滴が付いてもインクが流れてしまったりする問題が起きるのだそう。中国製ボールペンには、本体にもインクにも問題が多いようだ。ネット上では「中国製のボールペンの現象は昭和30年代の日本製と同じ」などの指摘があり、技術が日本の60年ほども遅れているのだとか。
愛される日本製ボールペンの秘密は、精緻な切削技術によるものだった
画数の多い漢字を書く必要がある中国の学生にとって、書き味の悪さやインクのにじみは積もり積もって大きなストレスの原因となっていた。また、ちょっと落としてしまうとインクが出なくなる中国製のボールペンに毎回失望させられていた。
一方、日本製ボールペンはスムーズな書き味で、丈夫。学生からの日本製ボールペン人気は高まるばかりで、ボールペン以外の文具も日本製のもので揃えるようになった人も少なくないとか。中国製と比較すると日本製の価格は2〜3倍するものの、コスパが高く、書いた文字にいっそう個人の風格が現れるという意見まで出るほど愛用されている。
これまでにも中国では多くのボールペンを生産してきたが、ペン先のボールに関しては精密な加工が求められるため、輸入に頼らざるを得なかったという。2017年には「太鋼集団」という中国企業が、中国国内でペン先を生産できる技術を開発したことがニュースとなったが、実際には今も日本製ボールペンに勝る技術を確立できていないようだ。しかし、ボールペンのペン先を作ることができるほど精緻なステンレスの切削技術を手に入れることができれば、ほかの様々な産業にも応用できるとして、ビジネスの大きな価値を感じているとしていた太鋼集団は、今後もその座を狙ってくることだろう。日本の技術には60年ほどの猶予があるとされているが、ますます技術を高めて中国企業に追い越されないように頑張っていただきたいものだ。
参考元:どうして日本から年間1億本ものボールペンが輸入されるのか=中国メディア【Searchina】