これが真実ならば、もったいないどころの話ではない。世界中にユーザーを持つアマゾンが、「売れ残り品や返送された商品など毎週10万点以上の商品を廃棄している」と、英国のニュース番組・ITV Newsが報じている。今回の大量廃棄を証言したのは、アマゾンの倉庫に勤務していた経験のある匿名の元従業員。スコットランドの配送センターにて、1週間あたり約13万点の商品が廃棄されるのを目の当たりにしていたという。具体的に、どのようなものが捨てられていたのだろうか。そして、この報道に対してアマゾンはどう答えているのだろうか。
パッケージのまま“破壊ゾーン”へ向かう商品たち…なかにはMacBookも
番組内で流れたアマゾン倉庫内の映像では、“破壊ゾーン”に向かうカートの中に、パッケージに入ったままの電動ドリルやアクセサリーが大量に入っている様子が映し出された。元従業員の証言によると、ほかにもアップルのiPadやMacBook、ダイソンの扇風機などの高価な商品が廃棄されることもあるという。
アマゾンは、同番組の取材に対して「破壊された商品が英国の埋め立て地に送られている事実はない」と回答。また、IT系ニュースサイト・The Vergeの問い合わせに対しては「当社は製品廃棄ゼロという目標に向かって取り組んでいる」「売れ残った製品は、再販・慈善団体への寄付・リサイクルを優先している」と回答した。大量廃棄報道については認めない姿勢を貫いている。
仮にこの報道が真実なのであれば、「もったいない」どころの話では済まされない。世界でSDGsへの意識が高まりつつある今、EC業界において確立した立場を揺るがされてしまう可能性だってある。
今回SDGsに背いた行動を報じられたアマゾンだが、2019年に「The Climate Pledge」(気候変動対策に関する誓約)を発表し、2040年までに事業のCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。さらに同年、10万台の電気配送者を発注し、2030年までに年間数100万トンにものぼるCO2排出量を削減する計画を発表。これらを見る限り、EC業界のリーディングカンパニーとして積極的な環境対策を行っているように感じる。しかし今回の報道では、トップの意識が現場にまで伝わっていなかったような姿が報じられたのだった。
今回の報道によって、世間からのバッシングを受け続けているアマゾン。環境対策をはじめとするSDGsへの取り組みにおいては、「何をするか」ではなく「何をしないか」が大切であることを思い知らされる。報道内容とアマゾンの公式発表、どちらが正しいかは今後明らかになっていくことだろう。続報を待ちたい。
参照元:アマゾンが売れ残り品など週13万点を廃棄、中には「MacBook」も–元従業員が証言【CNET Japa】
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