イギリスの大学評価機関QS Quacquarelli Symondsが、2022年度版「世界大学ランキング」を発表した。これは大学のレベルを比較するためのデータとして世界中で多く参照されている情報源の一つで、ランキングの1位はアメリカのマサチューセッツ工科大学、2位はオックスフォード大学、3位はスタンフォード大学と、名だたる大学が並んでいる。
今回はその中から、アジアの大学をクローズアップ。日本の最高学府と呼ばれる東大や京大は何位にランクインしているだろうか。
3位はエンジニアの育成に定評がある清華大学、2位はグローバル人材を輩出している南洋理工大学
このランキングは世界1,300の大学を6つの主要な指標に従って評価されている。その指標とは、学術的評判、雇用主の評判、教員/学生比率、学部ごとの論文引用数、国際教員比率/留学生比率だ。ちなみに、トップ10はアメリカとイギリス、スイスの大学に占められており、アジアの大学が登場するのはそれ以降であることを付け加えておこう。
アジアの大学第3位は、中国の「清華大学」で総合評点は89。首都・北京にある総合大学で、創立は1911年と歴史は長い。工業分野をメインに優秀な人材を数多く輩出していて、起業家も多く、中国の習近平国家主席や胡錦濤元国家主席の出身校としても有名だ。日本の東京工業大学と合同プログラムを実施するなど、日中交流を支える国際的人材の育成にも取り組んでいる。また、フォーブス誌の「世界で最も美しい大学キャンパスランキング」でアジアから唯一ランクインするなど、キャンパスの素晴らしさも特筆すべき大学だ。
第2位はシンガポールの「南洋理工大学」で総合評点は90.8。イギリスから独立する前の1955年に華僑教育機関として設立された南洋大学が礎となっており、メインキャンパスは200ヘクタールとシンガポール最大の広さを誇る。日本の神戸大学や福井大学などとも協定を結んでいるほか、ヨーロッパからも多くの留学生を受け入れ、「科学技術を基盤としたグローバルな大学として多様な分野の研究と幅広い教育を通じてリーダーを育成する」というミッションのもとに優秀な学生が集まっているようだ。
アジア編第1位は、シンガポールの「シンガポール国立大学」で総合評点は93.9。2位の南洋理科大学と共にシンガポールで双璧を成す有名校だ。シンガポールは英語を母国語とする国家であり、早くからグローバル化に成功しているということに関連し、同大学での英語教育や人材育成が評価されている。元は医学学校として設立されているが、現在は編成を経て総合大学へと移り変わっている。100カ国以上の国や地域から留学生が集まっており、日本では東京大学や京都大学などとも大学間協定を結んでいる。
さて、気になる日本の大学はというと、東京大学は6位にランクインしていて総合評点は86.2。8位に京都大学(82.3)、16位に東京工業大学(73.5)、21位に大阪大学(66.2)、24位に東北大学(65.2)、28位に名古屋大学(56.2)、30位に九州大学(53.3)という結果となった。
こうしてみると、日本の大学があまり世界から評価されていないというのがわかるのではないだろうか。その理由としてよく挙げられるのは、英語で研究できる環境にないことだ。アカデミアの世界では英語が共通言語であり、英語で論文を書くのが当たり前。当然、引用されるのも英語論文が多くなり、留学生や外国人研究者も活動しやすくなる。
もしかしたらそのうちに、東大や京大のキャンパス内言語が英語ということにもなりうるかもしれない。
出典元:世界のトップ100大学【QS Quacquarelli Symonds】