総務省が公表した、2020年国勢調査の速報値によると、日本の総人口は約1億2,622万7,000人と、前回(2015年)調査から約86万8,000人減少していたことがわかった。人口が増えたのは首都圏が中心で、東京都は約1,406万5,000人。テレワークが定着し、自然を求め地方へ移住する者が増加したと言われるが、今回の数値にはまだ表れていないようだ。2015年から2020年までの5年間で人口が増えた東京都内の市区町村ベスト5を紹介しよう。
各地で広がる再開発で住みやすさ、魅力も変化している
第5位は、駅周辺の再開発が進み「大人化」を目指す渋谷区(1万9,534 人増、増減率+8.7%)。商業施設だけでなくオフィス供給が増し、多くのIT企業が移転しITの街として脚光を浴びたが、現在は空テナントも増えているらしい。今の状況のなる前にITワーカーがマンションを購入したのか?
第4位は、品川区(3万5,940人増、増減率+9.3%)。品川といえばJR品川駅周辺エリアと天王洲や大崎といったベイエリアに乱立する高層ビルをイメージする人も多いだろう。確かにJALや富士電機などが本社を構える、ビジネス街として発展してきたまちではあるが、昔ながらの商店街を有する戸越銀座や中延といった下町エリアが大半を占めている。23区でベスト3に入るほど治安も良いので、働きやすく住みやすいまちでもあるのだ。
第3位は、東京23区内のほぼ真ん中に位置する文京区(2万573人像、増減率+9.4%)。森鴎外や夏目漱石、樋口一葉、石川啄木など数多くの文人たちが暮らしたまちとして知られる。また、大きな病院が多数存在しているため、働く子育て世帯や高齢者に向けた行政のサポートが充実している。さらに、行政が教育に力を入れていることから多くの教育施設があり、教育水準が高いことなども人口増加の要因になりそうだ。
首相官邸、中央省庁など、首都の顔ともいえる千代田区が第2位にランクイン(8,352人増、増減率+14.3%)。ここ数年で分譲マンションが多く建設されたことが人口増加につながった。公園の数は少ないものの、日比谷公園や広大な皇居外苑があり、緑も多く都心にいながら四季を感じられる。また神田の古本屋街や秋葉原の電気街など、ディープスポットが人気の区でもある。
第1位を獲得したのは2万8,135人増、増減率+19.9%の中央区。日本有数のショッピングエリアである銀座や、各地への街道の起点・日本橋などを有する長い歴史を持つまちだ。食文化の拠点・築地、昔ながらの商店街が残る人形町、隅田川や東京湾に面した佃・月島など、風情ある街並みが魅力で、近年はファミリー向けの高層マンション開発が進み人口が増えている。食品や家賃は高めだが、静かで落ち着いた雰囲気が支持されているようだ。
地方移住が増えているとも言われ始めているが、このデータを見る限り都心部の人気はまだまだ衰えることはなさそうだ。
参考元:【国勢調査2020】東京都で人口が増えたのは? 3位「文京区」、2位「千代田区」、1位は…【All About NEWS】
●国勢調査 / 令和2年国勢調査 / 速報集計 人口速報集計 (男女別人口及び世帯総数)【総務省】
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