住宅ローンを組むときに必ず出てくるのが「フラット35」だ。これは最大35年間、ずっと固定金利の住宅ローンのこと。金利が変わらず、月々の支払い額が一定なので安心感があり利用者は多い。だが、果たして本当に「フラット35」はお得なのか? ここではフラット35の基本を検証してみよう。
正社員でなくても借りやすい「フラット35」
マンションは数千万円もする高い買い物なので、住宅ローンを利用する人が多いが、返済期間が短いと月々の支払い額が高くなり、住宅ローンを組むことができない。やはり月々の返済額は6~9万円程度の家賃並みでないと、マンションを買う気にはならないだろう。たとえば、金利1.0%で2,000万円借りて35年で返済すると、月々の返済額は5万6,457円で済むが、20年に短縮すると月9万1,978円と高くなってしまうのだ。
とはいえ、民間の銀行では固定金利で35年の長期ーンはなかなか設定しにくい。そこで、2003年からスタートしたのが住宅金融支援機構の「フラット35」である。これなら最長35年で固定金利になるので、収入の少ない若者でも住宅ローンを借りやすくなるというわけだ。
また、「フラット35」は正社員でなくても一定の収入があれ借りやすいのが特徴。しかも、借りるときの保証料(借入額の2%程度)がなく保証人も不要。繰り上げ返済手数料が無料で団信も任意加入である。また、民間の住宅ローンでは、返済途中にマンションを賃貸(転勤などはOK)にするときは、ローンを完済しなければならないが、フラット35ならそのままローンを借り続けられるというメリットもあるのだ。
■フラット35のメリット
①最大35年間金利が変動しない
②保証料が0円
③保証人が不要
④繰り上げ返済手数料が無料
⑤団信は任意加入
⑥正社員でなくても借りやすい
⑦ローン途中で賃貸にしてもOK
必ずしも「フラット35」」の金利が最安値ではない
(Image:Shutterstock.com)
正社員でなくても借りやすい「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間銀行が提携している住宅ローンなので、実際には民間銀行で借りることになる。そのため、同じフラット35でも銀行によって金利や手数料などは若干異なるので要注意。また、民間銀行の住宅ローンには全期間固定金利型、固定金利期間選択型、変動金利型などの住宅ローンが用意されており、「フラット35」よりも安い金利で借りられる場合も多い。とはいえ、民間銀行の場合は、手数料や保証料などを加味するとトータルではフラット35より高くなる場合もある。事前にしっかりシミュレーションしよう。ちなみに、購入する住宅の省エネ性や耐震性が高いと、金利が0.25%ほど安くなる「フラット35S」もあることは頭に入れておきたい。
なお、「フラット35」では住宅価格に対する借入金の割合が90%を超えると、金利が0.4~0.5%程度高くなる。頭金が少なすぎる人は10%以上の資金を用意してから借りた方がよいだろう。
■フラット35のデメリット
①物件に利用条件がある
・住宅金融支援機構の技術基準に適合する住宅
・床面積が30㎡以上(一戸建ては70㎡以上)
②金利が民間銀行より必ず安いわけではない
③金利が固定しかない
※今は変動の方が安い。金利が下がると損する場合も!
④団信加入が任意
※加入しないと万一の場合は大変なことに!
●住宅金融支援機構は→こちら