今やネットショップの代名詞ともなったアマゾン。有料サービスである「Amazonプライム」に加入している会員は全世界で2億人(アマゾン発表/2021年4月現在)を突破するなど、圧倒的な力を見せている。そんなアマゾンが計画中のドローン配送「Amazon Prime Air」のプロジェクトは、まさかの“大失敗”が見えているという。この報道によって少し見えた、世界的大企業の内情も心配だ。
期待の大きい超スピードの無人配送
アマゾンが計画中のAmazon Prime Air。重さ5ポンド(2.3kg以内)の商品であれば、ドローンを使って注文から30分以内に配送を行うサービスとして計画されている。Amazonプライム会員に向けて提供されている「お急ぎ便」でも、注文の翌日配送が最速。比べずとも圧倒的なスピード感であることがわかる。
「重量制限があったら商品も限られるのでは?」と思う人もいるかもしれないが、以外にもアマゾンで取り扱っている製品の約86%(2013年アマゾン発表時)はカバーできるという。さらに、2020年8月にようやく空の安全性基準を定める連邦航空局(FAA)による認可が下り、実用化が見えてきた。そのスピード感はもちろんだが、交通網が発達していないために現状での配送が難しい地域などへも配送が期待でき、まさに近未来の配送方法として注目が集まっている。
Amazon Prime Air は2013年に発表され、2014年にはすでに部門の人材募集が始まったと報じられていたのだが、その人材たちがどうやら大変なことになっている様子。ここにきて実現できるのか雲行きが怪しくなり、実現できても軌道に乗らず失敗しそうな予感が漂っているというのだ。
WIREDによると、これまでにAmazon Prime Airの従業員100人以上が退職しており、残った従業員の多くも他部門へ移り、続々と離脱しているという。結果的に2016年から配送テストがスタートしていたイギリスの一部事業に関して、すでに閉鎖に追い込まれているとのこと。
世界的大企業のアマゾンといえども、まだしっかりと体制が整っていない新プロジェクトに対しては不満を抱く従業員が多いのだろうか。また、急速な成長を遂げようとしているサービスを手掛けるには、かなりのストレスがあったのかもしれない。
アマゾンの内部関係者によると3つのチーム分かれていたドローン部門。各チームの管理職が1年以内に退職していったという。もちろん、それでプロジェクトを止めるわけにはいかなかったのだろう…空いた穴はふさがなければならない。
ところがプロジェクトマネージャーに任命されたのは、“ほぼ素人”と言っても過言ではない何も知らない人物だったという。基本的な業務内容がわからなかったり、さらには朝からデスクでビールを飲んだりと問題続きだったという。“ほぼ素人”であれば、部門の未経験者ととらえて業務内容がわからないのは百歩譲ってわからなくもないが、デスクでビールを飲むのはさすがにいかがなものか。もしこれが本当ならば、アマゾンの社内秩序を疑うような出来事だ。
内部関係者は「私が働いていた時には、すでにAmazon Prime Airのプロジェクトがスタートして何年も経っていたが、Amazon Prime Airが軌道に乗ることはない」とコメント。ここまで努力を重ねてきたAmazon Prime Airだが、明るい未来はくるのだろうか…。
参照元:Amazonのドローン配送サービス「Amazon Prime Air」に暗雲、100人以上の従業員が退職してプロジェクトが崩壊寸前か【GIGAZINE】
※サムネイル画像(Image:No-Mad / Shutterstock.com)