天気予報から国内外のニュースまで、さまざまな“今”をまとめて知ることができる新聞。高校や大学の入試対策として「新聞を読んでおくこと」と、耳にタコができるほど言われた記憶を持つ人は多いのではないだろうか。
しかしインターネットやスマートフォンの普及により、新聞の発行部数は年々減少している。今回は日本新聞協会の発表による「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」をもとにねとらぼ調査隊が伝えた47都道府県の中でも1世帯あたりの発行部数が少ない地域にスポットライトを当てて紹介する。
同率3位は、意外ともいえる、どちらも大都市を抱える「福岡県」と「東京都」
同率の第3位は「福岡県」で、1世帯あたりの発行部数は0.50部、発行総部数はおよそ120万部。九州を代表する県といっても過言ではない福岡県には、全国紙の支社はもちろん、九州を代表する西日本新聞の本社など、多くの新聞社の拠点がある。
特徴的なのが、“ローカル新聞”である西日本新聞の強さだ。九州7県での朝刊総発行部数は、2020年4月時点で約51万部に上り、全国紙を上回っている。
そしてもう1つの第3位は、「東京都」。日本どころか世界有数のビジネス都市であり、人口も多い東京がまさかの3位となった。しかし、これには理由がある。実は、日本新聞協会のデータの発行総部数だけでみると350万部と、47都道府県の中でダントツ。さらに朝刊のみ、夕刊のみ、セットのカテゴリー別でも発行総部数は1位である。ただし、今回の調査の“1世帯当たり”という基準からすると、残念ながらワースト3位という順位になってしまったようだ。スマホの普及で、通勤電車で新聞を広げている人はほぼ見かけなくなった。デジタル化の大波は相当影響しているようだ。
第2位は「熊本県」。1世帯あたりの発行部数は0.47部で、発行総部数はおよそ36万部。ここでもローカル紙の強さが見える。“熊日”の愛称で親しまれているローカル紙「熊本日日新聞」は、熊本県における朝刊の販売総部数が、2019年1~6月の期間でおよそ26万部と、全国紙である2位の読売新聞(4万5,042部)を大きく突き放している。
そして残念ながら第1位は「鹿児島県」。1世帯あたりの発行部数は0.42部。朝刊のみの部数が99%を占めている。鹿児島県でも、九州ローカル紙である「南日本新聞」の人気は盤石だ。地方民にとっては、全国紙はどこまでいっても“全国”紙。どこか遠い存在のように感じてしまうのかもしれない。
ちなみに、この2県では大きな違いがある。朝刊・夕刊をセットでとる世帯がわずか6世帯である1位の鹿児島県に対し、2位の熊本県ではなんと28,000世帯以上が朝夕セットでとっているのだ。新聞はどちらかというと朝刊のイメージが強く、朝刊のみをとる、という世帯が全国的に見ても多数派だ。
熊本県の新聞、“熊日”などには何か他にはない魅力があるのだろうか…? 謎は深まるばかりである。
出典元:「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」【日本新聞協会】
※サムネイル画像(Image:GagliardiPhotography / Shutterstock.com)