日本でテレワークが普及してから約1年半が経った。各企業でテレワークの環境が整い、ビデオ会議をはじめとするオンラインでのやり取りにもすっかり慣れてきた頃だろう。通勤時間が短縮されたり、電話応対がなくなったりと時間的なメリットが多いテレワークだが、実は「仕事が捗る」と感じている人はそれほど多くない様子。アドビが7カ国を対象に行った調査では、「テレワークの方がオフィス勤務より仕事が捗る」と回答した人の割合は、7カ国の中で日本が最も少なかったのだという。
日本人で「テレワークの方が捗る」と回答したのは半数以下
アドビが日本やアメリカなど7カ国で行った働き方に関する調査によると、「テレワークの方がオフィス勤務より仕事が捗る」と回答したのは、グローバル平均69.1%に対して、日本は42.8%のみ。つまり、テレワークのおかげで仕事が捗っている日本人は、全体の半分以下であることが明らかになった。
たしかに、テレワーク開始当初は周囲の目がないことからダラダラと仕事をしてしまい、かえって作業に時間がかかるといったケースもあった。しかし、1年以上テレワークを継続することで、それぞれが自分のペースを掴んで、自宅でも効率的に仕事ができるようになったのではないだろうか。いったい、何が日本人の足かせになっているのか。
日本人にとってテレワークが捗らない理由。それは、他国に比べてデジタル化が進んでいないからではないだろうか。
アドビが2020年に行った調査では、上司に判子やサインを貰ったり、オフィスにある紙の資料を確認するため、6割以上の人がテレワーク中にやむなく出社した経験があると回答している。アドビは「このようなオフィスでしかできない紙を使った業務が、テレワーク環境下の仕事効率化の妨げになっていることが考えられます」と推定しており、日本はその典型的な悪い例と言えるだろう。
判子といえば、日本社会の代表的な文化だ。判子のデジタル化を進めている企業もあるが、そもそも判子は必要なのだろうか。「判子を押す」理由を見つめ直し、捺印ありきの仕事を見直さない限り、抜本的な業務効率化は難しいだろう。現在のパンデミックが収束しても、また新しいウイルスが現れる可能性だって十分にあるわけだ。ぬるっとテレワークを行えてしまっている現状に甘えることなく、いまのうちにオンラインで仕事ができる環境を整えておきたいものだ。
参照元:アドビ、未来の働き方に関する調査を7カ国で実施【アドビ株式会社】