マイナンバーカードといえば、本人確認の身分証明書としての利用はもちろんのこと、住民票や印鑑登録証明書などの公的な証明書をコンビニで取得できたり、行政手続のオンライン申請に利用できる市町村があったりと、さまざまなことができるようになった。2021年10月20日からはマイナンバーカードが健康保険証として全国で本格運用されるため、利便性がさらに増すようだ。
今回は、マイナンバーカードの健康保険証利用によるメリットなどを紹介しよう。
情報がデジタル化することで管理が楽になる
実は2021年3月に一部の医療機関で先行して運用がはじまっていたマイナンバーカードの健康保険証利用。しかし、患者の情報が確認できないといったトラブルが相次いだため、厚生労働省は当初予定していた3月末からの本格運用を先送りに。システム面でのチェック機能を強化するなどの対応を行い、データの正確性が担保されたとしてようやく本格運用されることになった。
マイナンバーカードを健康保険証として利用することによるメリットはさまざま。例えば、病院や薬局では顔認証機能を利用して本人確認と保険資格の確認が一度にできる。また、過去に処方された薬のデータや特定検診情報が連携されるため、本人が口頭で説明する手間も省ける。さらにこれらの情報は、子育てや介護をはじめとする行政手続の検索やオンライン申請、行政機関からのお知らせが受け取れる「マイナポータル」からも閲覧できるという。
高額療養費制度、確定申告の医療控除にも役立つ!
メリットはまだある。入院などで発生する高額な医療費を申請することで、限度額を超える支払いが免除される高額療養費制度。従来は、制度を利用するときは「限度額適用認定証」を事前に申請する必要があり、書類が間に合わなければ一時的に医療費を患者が負担しなければならなかった。しかしマイナンバーカードの健康保険証を利用すると、顔認証付きカードリーダーで情報提供に同意するだけ。申請することなく制度を利用できる。
また、確定申告での医療費控除の手続きが楽になる。医療費控除を受けるためには、過去1年間の医療費の領収書を保存して金額を管理する必要がある。しかし、マイナポータルとe-Taxを連携することで、医療費の領収書を保管しておかなくても、受診者情報や医療費通知情報を管理できるため、オンラインで完結できるという。
厚生労働省によると、2021年9月12日時点でマイナンバーカードを読み込む機械を導入している医療機関は5.6%にとどまっているとのこと。およそ1カ月でどれだけの医療機関に導入されるのだろうか。何らかの対策で、一気に利便性をアップさせてほしいが果たして…。今後のマイナンバーカードの動向に注目していきたい。
参照元:マイナンバーカードの保険証利用について【厚生労働省】
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