イヤホンや耳栓の使用頻度が高い人は、気をつけたほうがいいかもしれない。「耳を長時間塞ぐことでゴミや細菌を自浄する耳のシステムが妨げられる」と、専門家が警鐘を鳴らしているのだ。外出中に音楽を聴いたりWeb会議でイヤホンをしたりと、人によっては生活の必需品でもあるイヤホンだが、健康を損なっては意味がない。
イヤホンが邪魔する「耳の自浄システム」って?
外出先での音楽や動画の視聴、また学校のオンライン授業や仕事のWeb会議。イヤホンを装着する時間は今後も減ることがなさそうだ。近年はワイヤレスイヤホンなども多く登場し、その人気を広げ続けている。しかしそんな中で、現在注目を集めているのが「耳の健康」に与える影響だ。
オーストラリアのボンド大学、生理学・薬理学教授のCharlotte Phelps氏は、1日中イヤホンを装着すると耳の保護機能を損なってしまうと警鐘を鳴らしている。耳には「自浄システム」があり、入ったゴミや細菌、古い皮膚など不要なものは耳垢にからめとられる形で外に排出されていく。耳垢はそれ自体がゴミのように思われているが、実は「天然のワックス」とも言える大切なもので、外耳道の毛包にある皮脂腺と汗腺から出た分泌物でわざわざつくられているのだ。不要物をからめとり、内側から外へ、決して逆流せず出ていくようになっている。よくできたシステムなのだ。
しかし、イヤホンを長時間装着しているとその流れが止まってしまう。耳垢が圧縮されて固く流動性がなくなった結果、炎症を起こしたり排出できなくなったり。イヤホンで塞いでしまうことで耳の中が乾燥せず、水分量が多くなり細菌の温床となることも考えられる。過度に溜まった耳垢は、痛みやめまい、耳鳴りといった症状のほか、最悪の場合は聴覚障害を引き起こしてしまうと伝えている。
「では耳掃除で垢を取ればいいのでは?」と思うかもしれないが、基本的にはおすすめされない方法なのだそう。逆に耳垢を奥に押しやってしまう可能性があるためどんな方法でも掃除は避け、自然排出を待つのがベストとされる。気持ちいいからと耳掃除を趣味にしている人は、「やめろ」とは言わないが頻度や力加減をセーブして節度を保って行うべきかもしれない。
それでも長時間イヤホンをしなくてはいけない人もいるだろう。その場合は、空気の流動性が高いヘッドホンを使うことで耳への負担を和らげることができる。見た目や好みの問題もあるかもしれないが「健康のため」という視点を持つと、ちょっと検討してみようかなという気がしてくる。
参照元:耳も呼吸する、一日中イヤホンを付けっぱなしにするとなぜ危険なのか?【GIGAZINE】