東京圏では、仕事をしている人や学校に通う人の交通手段は多くが電車だ。読者の中にも朝の通勤・通学ラッシュの恐ろしさを、身をもって知る人も少なくないだろう。そんな電車を利用する上で困ることといえば、何らかのトラブルで運行に支障をきたす「遅延」。日常的に遅延が発生する路線の利用者の中には、早めに準備するといった行動をとっている人もいることだろう。では、そんな東京圏で遅延が少ない路線はどこだろう。
今回は、国土交通省が調べた「東京圏の鉄道路線における1ヵ月(平日20日間)あたりの遅延証明書発行日数状況(2018年度)」について紹介しよう。
東京を通らない路線が1位にランクイン!
第2位は、「東急多摩川線」の1.7日。遅延の内訳は、「10分以下」が1.1日、「10分超~30分以下」が0.6日、「30分超」はなんと0日という結果に。そんな東急多摩川線といえば、東京都大田区の多摩川駅と蒲田駅を結んでおり、駅数は7つで各駅停車のみという規模の小さい路線。遅延が少ない理由としては、3両編成の短い車両ということに加え、大きなターミナル駅を通らず運行しているため、遅延のリスクが少ない路線ということ。また、各駅停車ということで駅周辺では必ずスピードを緩めるため、もしもの時にも対応できるのだろう。
第1位は、「東武野田線」の1.1日。2位にも大差をつけての1位獲得で、内訳をみても、「10分以下」が0.4日、「10分超~30分以下」が0.2日、「30分超」が0.4日。東武野田線は、さいたま市の大宮駅と千葉県船橋市の船橋駅を結ぶ路線。遅延が少ない理由としては、東京を通っておらず乗降客数が限定されやすい点が挙げられる。東京は人が密集しているためにどうしても混雑しやすく、乗車時間の超過やドアの再開閉といった小規模な遅延が何度も発生してしまい、積もり積もってダイヤを乱してしまうのだろう。
一方で、最も遅延が起こりやすいワースト1位は、「東京メトロ千代田線」19.2日。ほぼ毎日遅延が発生していることが分かった。内訳をみると「10分以下」が11.7日、「10分超~30分以下」が6.9日、「30分超」が0.6日と、小規模な遅延が多いことが分かった。千代田線は、代々木上原駅と北綾瀬駅を結ぶ路線だが、代々木上原駅では小田急線、北綾瀬駅のひとつ手前にある綾瀬駅ではJR常磐緩行線と、それぞれ相互直通運転を行っている。そのため、それぞれの路線の遅延の影響が千代田線にも波及することがあり、遅延が多い原因の一つとして挙げられている。
また国土交通省が発表した2019年度の鉄道の混雑率では、千代田線は東京メトロ内の混雑率では東西線に次いでの2位。千代田線を利用している人であれば、混雑しすぎてドアが閉まらない光景を毎日のようにみかけるのではないだろうか。こういった小規模な遅延がダイヤを乱しているようだ。
東京メトロでみると、千代田線に次いで遅延が多かったのは「東西線」で18.0日。「10分以下」が10.9日、「10分超~30分以下」が6.3日、「30分超」が0.7日と、千代田線同様に小規模遅延が多発しているようだ。東西線は、東京メトロ内の混雑率1位ということで、遅延の多い理由として混雑率が関わっていそうだ。
テレワークが普及したことによる影響か、混雑が減り遅延の案内を見かけることが少なくなった気もする。時差出勤制やフレックスタイム制などを導入する会社も増え、今後は数年前のような混雑している様子を見る機会はどんどん減っていくのかもしれない。
出典元:東京圏の鉄道路線の遅延「見える化」(PDF)2020年発表【国土交通省】
参照元:「遅延が少ない」東京圏の路線ランキングTOP45! 2位の「東急多摩川線」を上回る1位は?【ねとらぼ調査隊】
※サムネイル画像(Image:Tupungato / Shutterstock.com)