現在、普及率がおよそ40%というマイナンバーカード(2021年11月1日時点、マイナンバーカード普及状況ダッシュボードより)。最大で2万円分のポイントを付与する新マイナポイント事業をスタートしたことにより、政府は人口の約75%にあたる9,500万人まで取得者を増やしたい考えだという。
12月20日以降には、マイナンバーカードとスマートフォンを使って電子化されたワクチン接種証明書を入手できるようにすることも決まっており、今後もマイナンバーカードの機能が増えることになりそうだ。
これまで、持っていることで利便性を感じる機会がほぼ無かったマイナンバーカードも、今後は便利なものとなっていくかもしれない。しかし、そもそもマイナンバーカード作成時に立ちはばかる“ハードル”があるのをあなたはご存じだったろうか。
「4つの機能にそれぞれのパスワード」という考え方
最大2万円分のポイント付与に、ワクチンの接種証明など、最近になってマイナンバーカードに関する動きがあり、新たに作った人やこれから作ろうと考えていたという人も多いのではないだろうか。
NHKの報道によれば、NHK社員がマイナンバーカード申請のために役所を訪れた際、申請書類のパスワードの記入欄が4種類もあり驚いたという。確かに、1枚のカードを申請するのに1つ以上のパスワードを決めろと言われれば、少し戸惑ってしまうのも無理はないだろう。
しかし、「署名用電子証明書」「利用者証明用電子証明書」「住民基本台帳用」「券面事項入力補助用」の4つのパスワードはそれぞれ別の用途があるという。詳しいことは省略するが、総務省の担当者がNHKの取材に語ったところによると、「アプリが違うと機能が違うでしょう。それと同じで、いくつかのアプリが合体したカードなんです。アプリごとにパスワードが必要と理解してください」というわけで、4つのパスワードが必要とのことだった。
4つのうち「利用者証明用電子証明書」「住民基本台帳用」「券面事項入力補助用」は共通でも大丈夫だというが、それでも同じコンテンツで2種類のパスワードを使い分けるのはなかなかに骨が折れる。筆者自身も覚えている自信がないため、写メで残した次第だ。
ネット上では、「マイナンバー作る時点でICチップを使い生体認証登録すれば汎用的な認証カードになるのだが、パスワード4つ登録という時点で国のデジタル化など遥か彼方に感じる」「生体認証を利用するなど安全性を高める方法が他にも有ります。設計の段階から間違っていると思う」といったデジタル化を進めたいはずの国がアナログなパスワード管理を推奨することを疑問視するユーザーが少なくなかった。
また、「情報漏洩した場合の補償は?責任は?」といった万が一パスワードが流出してしまった際の対応に言及する意見や、「マイナンバーカードは作りませんので、御心配なく!」など、「マイナンバーカード絶対に作らないぞ」勢も複数現れたのだった。
「2万円給付」で色めき立ってマイナンバーカードを作ろうかと考えた人も多いだろうが、この“パスワードの壁”の存在で「面倒だからやっぱいいや」となった人はどれだけいるのだろうか。マイナンバーカードの普及には、まだまだ時間が必要そうだ。
参考元:マイナンバー パスワード忘れた 多すぎない?【NHKニュース】
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